総裁選で急浮上「高市早苗氏」にくすぶる“リーフレット問題” 「自分だけではない」と反論も識者は「とても自民党の総裁を目指す人の言葉だとは思えません」

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全党員に郵送すると1億円

「8月のかなり早い段階から、選管の委員長である逢沢一郎さんは『カネのかかる総裁選』に危惧を表明し、具体例として『政策パンフレットの郵送』について言及しました。8月の下旬にも逢沢さんは『告示前に政策を訴えるチラシの郵送には制限がない』ことを問題視し、候補者に自粛を求める方針を選管で確認しています。新聞など大手メディアも報道しており、これを高市さんが知らなかったとは考えられません。8月に郵送の作業を止めることは可能だったはずですし、まして『他の候補者もやっている』の反論は、叱られた子供が『他の子もやっているもん!』と先生に食い下がっているのと同じです。とても自民党の総裁を目指す人の言葉だとは思えません」(同・伊藤氏)

 経緯を確認しておこう。まず8月5日、総裁選の選挙管理委員会は初会合を開き、投票日などの日程やルールの議論を始めた。

 会合が終わると逢沢委員長は記者団の取材に応じ、「資金が潤沢かどうかで差がつくことを国民がどう見るかを慎重に考え、必要以上にカネのかからない選挙にしたい」と発言。東京新聞は《多額の費用がかかる政策パンフレットの郵送に一定のルールを定める案も示した》と伝えた(註2)

 8月17日には日本経済新聞の電子版が「自民党総裁選『カネかけない』前面 郵送や電話禁止の案」との記事を配信。《自民党の党員は2023年末時点でおよそ109万人いる。ビラやパンフレットを一斉に郵送するとおよそ1億円》と伝えた。

何も改革しない自民党

 さらに逢沢委員長は20日の記者会見で「金のかからない事前の準備に努力してもらう」と候補者に要請。この発言は新聞やテレビが報じ、読売新聞は政調会長を務める渡海氏の「郵送で1億円、電話で1000万円かかる」との発言を紹介している(註3)。

 高市氏を含む複数の候補者がリーフレットを配ったのは結局のところ、「カネのかかる総裁選」が相も変わらず横行している事実を浮かび上がらせる。

「今回の総裁選が何のために行われているかを考えれば、『カネのかからない総裁選』が掛け声だけで実効性に乏しいのは当然でしょう。裏金事件をごまかすための掛け声であり、自民党は再発防止を目指して抜本的な改革を行うつもりは全くありません。総裁選で新しいリーダーを選び、『本の表紙だけを変える』ことで有権者の怒りを沈めようとしています。『本の中身を変える』つもりはありませんから、総裁選はいつも通りカネがかかります。いつかチャンスを見て派閥も復活させるでしょうし、政治資金を集める派閥のパーティーも再開させるつもりなのです」(同・伊藤氏)

註1:「三角大福」の争いで金権批判 その後は「クリーン」アピール 自民党総裁選プレーバック2(産経新聞電子版:8月3日)

註2:自民党総裁選ルールづくりで初会合 資金なければ立候補は難しい黒歴史 「カネのかからない選挙」掲げるが…(東京新聞電子版:8月6日)

註3:「郵送で1億円、電話で1000万円かかる」と言われる総裁選…党は「節約」求めるが実効性不透明(読売新聞オンライン:8月21日)

デイリー新潮編集部

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