総裁選で急浮上「高市早苗氏」にくすぶる“リーフレット問題” 「自分だけではない」と反論も識者は「とても自民党の総裁を目指す人の言葉だとは思えません」

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「泥仕合」と呆れているメディアが多い──。自民党総裁選に立候補している高市早苗氏が、党員に“政策文書”を配布した問題だ。例えば時事通信は9月19日、「政策文書送付、泥仕合の様相 高市氏側『他陣営も』主張 自民総裁選」との記事を配信。党執行部と高市氏の対立を伝え、《泥仕合の様相を呈している》と批判した。

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 改めて経緯を振り返ろう。総裁選の選挙管理委員会は3日、「カネのかからない選挙」を実現するため、インターネットの有料広告など8つの禁止事項を決定。その中に「文書類を郵送等で送付すること」が含まれていた。

 そして10日までに複数のメディアは、高市氏が自身の政策をまとめたリーフレットを郵送していた事実を把握。この日の夜、記者団が高市氏に問いただした。

 高市氏は【1】リーフレットでは総裁選のことに全く触れていない、【2】8月中旬から発送を始め、禁止事項が通知された9月4日に発送は終了していた──と説明。「党の決めたことには一切違反していない」と潔白を訴えた。

 翌11日に選管の逢沢一郎委員長が高市氏に口頭で注意。だが自民党の森山裕総務会長、渡海紀三朗政調会長、小渕優子選対委員長、岸田文雄首相の4人が党本部で協議を行い、総裁選の公平性を確保するため追加対応が必要とし、逢沢委員長に申し入れた。

 これに高市氏は猛反発。まず18日に地元秘書が奈良市で記者会見を開き、「選管に圧力をかけるのは考えられない」と党執行部を批判。高市氏も20日と24日の会見で「政策リーフレットを郵送したのは自分だけではない」と訴えた。

買収が横行した総裁選

 ただし、高市氏はいずれの会見でも記者に「どの候補が郵送したのか?」と質問されると、「総裁選を泥仕合にしたくない」などの理由で回答を拒否している。担当記者が言う。

「なぜ選管が『カネのかからない選挙』を言い出したのかという問題は非常に重要です。自民党総裁選は、国会議員や自治体の首長、地方議員など“公職者”を選ぶ選挙には該当しません。単に『自民党という政治団体のトップを、党の関係者で決める』ための選挙ですから、公職選挙法の対象外なのです。そのため、たとえカネで票を買収しても刑事事件としては扱われません」

 1964年の総裁選では池田勇人、佐藤栄作など4氏が立候補。それぞれの派閥は自民党の国会議員を買収しようと動き、2つの派閥からカネをもらう“ニッカ”、3派閥からもらう“サントリー”、そして全派閥からもらう“オールドパー”という隠語が公然と語られた。

 また1972年の総裁選は田中角栄、福田赳夫、大平正芳、三木武夫の4氏が立候補。この時も買収が横行し、産経新聞は当時、「1票3千万円のウワサも」と報じている(註1)。

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