インドはなぜ「次の中国」になれないのか 停電、水害、環境汚染…モディ首相の求心力も低下

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「次の中国」に必要なGDP成長率

 米モルガン・スタンレーは9月17日に発表したリポートで、主要な世界株価指数(MSCI・ACワールドIMI指数)のインド株のウエート(2.35%)が初めて中国株(2.24%)を上回ったと発表した。

 インドの経済成長率の高さを理由に、同国の株式市場では海外からの力強い資金の流入が続いている。中国経済が強力な刺激策の欠如や根強いデフレ圧力で失速する中、投資家の間で「インドが世界経済の新たな成長の原動力となる」との確信が高まっていることが示された形だ。

 インドの第2四半期の実質国内総生産(GDP)の成長率は前年比6.7%増だった。前四半期の7.8%増から伸び率は鈍化したものの、人口増加などを背景に主要国を上回る成長を維持している。

 国際通貨基金(IMF)によれば、世界の経済成長への寄与度はインドが16%、中国が34%だ。「インドは『次の中国』になる」との期待が生まれているが、そのためには2桁近い成長を長期にわたって続ける必要があると言われている。

高学歴者ほど就業環境が厳しく

「飛ぶ鳥を落とす」勢いの感があるインド経済だが、課題も山積している。

 喫緊の課題は雇用創出力の低さを改善することだ。2022年度(22年4月~23年3月)の失業率は、モディ政権発足前(2013年度)の4.9%から5.4%に上昇した。15~29歳の若年層の失業率は16%を超え、高学歴者ほど就業環境が厳しくなっている。

 米シティグループの分析結果によれば、現在の成長率(年率7%)ではインドの年間の雇用創出は800~900万人にとどまるが、国内労働市場に新規参入する若年層を吸収するには年間1200万人の雇用創出が必要となるという。

 インドの雇用創出力が低い主な要因は以下の2つだ。

(1)製造業のGDPに占める比率が17%と発展途上国の中で下位に属していること
(2)非農業部門の雇用に占める中小企業の割合も約4割と世界平均から見てかなり低いこと

 インド準備銀行(中央銀行)は8月26日、小規模・地方業者向けの融資プラットフォーム導入を発表した。中小企業などの分野で満たされていなかった大規模な資金需要に対応する構えだが、雇用市場の改善につながるかどうかはわからない。

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