母は声を上げて泣き、父は涙を堪えて我が子を…「中国10歳男児刺殺事件」日本人学校保護者が語る「お別れ会」の悲嘆

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高額なスクールバス

「恐怖と言うより、精神的にまいっている状況です。うちの子供も同じ日本人学校に通っているのですが、スクールカウンセラーからは『普段通り子供に接してあげてください』と言われています。しかし、学校からは『外で日本語を話さない』『不要不急の外出をしない』などの“お約束”が要請されています。会社からは『日本人同士で外食、イベントをしないように』とも言われており、そんな中で日常生活を送ることなどできません。非日常の生活に疲れてしまい、精神的にまいってしまうのです」

 江蘇省蘇州市では今年6月、日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が切りつけられる事件も起きた。日本の外務省は来年度予算の概算要求に、中国でのスクールバス警備費として3億5000万円を計上しているが……。

「学校側も保護者会でスクールバスのセキュリティーを強化すると発表しましたが、親はバス停までは歩いて子供を送るわけですから、その間は無防備です。そこはどうするんだ、と考えている方は少なくありません。ちなみに、今回、事件に遭われた児童は徒歩通学でした。そもそもスクールバスの値段が高いという問題もあります。1人当たり月1200元、日本円で2万4000円ほどになります」

 年28万8000円は確かに高い。

「言うまでもありませんが、子供が2人なら2倍です。会社によってはバス代を負担してくれるところもありますが、そうでないところももちろんある。そのため徒歩で行ける地域に家を探したり、少し遠くてもお母さんが送り迎えをしたりする方も多いのです。今後、バスで通学することになった場合、その資金はどうなるのかも考えてもらいたいです」

デイリー新潮編集部

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