ヤクルト高津臣吾監督(55)単年で契約延長の球団事情 青木監督までの“つなぎ”と言い切れない「対抗馬」の存在

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青木は監督への意欲満々

 前出の球団関係者は功績を認める一方で、1年契約は次期監督にバトンタッチするまでの“つなぎ”を意味するという。

「奥川(恭伸投手)が故障で伸び悩んだりと、高津監督の専門である投手陣の強化は進んでいません。打線は主力に故障者が出ると、控え選手との差が大きいため、大幅に戦力ダウンし、長いシーズンを戦う上では不安を抱えています。来季もよほど大きな補強をしない限り、上位進出は望めないでしょう。コーチ陣を含め、人心一新すべき時期に来ていたのですが……」(NPB球団元監督)

 候補がいないわけではない。最有力は今季限りで現役引退する青木宣親外野手(42)だ。引退表明の記者会見では「監督はやってみたい」とはっきりと意欲を口にした。

「青木の引退表明後、一時は来季から監督になるのではないかとの観測が出ていました。本人は来季のコーチ就任への打診はないとしていましたが、抜群の選手実績を考えると、いきなり監督もあり得るのではないか、と。なかなか本人がユニホームを脱ぐ決断をできないでいたので、新体制に移行する準備期間が不足していたこともあったようです」(担当記者)

 次期監督の本命は日米通算2723安打の「ミスター・スワローズ」のようだ。

宮本氏はかつての監督候補

 ただ来季からとなると、指導者経験なしでの監督就任となる。

「中日の立浪(和義)監督は(NPB球団で)コーチ未経験のまま就任したことが失敗した一因と言われました。今のチームは1年で優勝争いに絡めるところまで戦力が整うかは分かりません。青木は満を持して監督をさせたい人材なので、再来年からすぐということはないかもしれません」(前出の元監督)

 実は今季途中に、別の監督候補が取り沙汰されたことがあった。ヤクルトOBで元ヘッドコーチの宮本慎也氏(53)だ。

 13年に現役を引退した宮本氏は18年、プロ入り時に担当スカウトだった小川淳司氏(現ゼネラルマネジャー=GM)の2度目の監督就任と同時に、ヘッドコーチとして復帰を果たした。大阪・PL学園高で養われた野球への妥協を許さない姿勢で、村上宗隆内野手らを厳しく指導し、いきなり1年目に前年最下位のチームを2位躍進へと導いた。

「当時の慎也さんのヘッド就任は当然、将来の監督含みでした。それが2年目に最下位になり、責任を取る形で辞任してしまった。ケジメをつけたことで潔かったといえますが、途中で投げ出した印象もありました。球団の青写真が狂ったことも確かで、次期監督への道筋を作ろうとしていた小川さんも困惑していましたから」(チームスタッフ)

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