妻で満たせない「特別な欲望」は年下の女性と…「浮気ではない」と言い張る44歳夫の選択と代償

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「汚らしいもの」という扱いに…

 どうしても僕のことが気持ち悪いなら離婚してもらってもかまわないと彼は思いきって言った。だが妻は「今は離婚しない」と言い張った。それでも、とにかく洗濯物だけは自分でやって、それからお風呂は最後に入ってと吐き捨てるようにつぶやいた。

「汚い、気持ち悪いという気持ちなんでしょうね。どうしてそうなるのかわからない。イメージだけで決めつけないでほしいと頼んでも無理と言われて。しかたないんでしょうけど」

 家庭が大事なのは本音だろう。だが彼にとってプレイも重要なのだ。生きるエネルギーとして。それがなければ仕事も家庭も力を注ぐことができないのかもしれない。妻とできないからこそ、彼は理想的なプレイができる相手を見つけた。

 彼にとっては大好きな映画を「この人と」観に行きたいのと同じような感覚なのだろうが、そういう世界を知らない人には理解はできない。理解してもらおうと思うのが間違いだとわかっているとも言う。

「家族への愛情とはまったく別のものなのに……。寂しいですね」

 くぐもった声でそう言った彼の表情は、SMを語るときとはまったく別の寒々しいものだった。

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【前編】では、晴也さんが自らの趣味に目覚めたきっかけなど、彼の原点を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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