妻で満たせない「特別な欲望」は年下の女性と…「浮気ではない」と言い張る44歳夫の選択と代償

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コロナ禍で“封印していた箱”が開いた

 3年ほど前のことだ。コロナ禍で、晴也さんは週1度の出社という状態が継続されていた。妻は仕事の関係で、毎日出社していた。家で仕事をしながら、晴也さんはどこか心が鬱々としていた。あのころ日本中がそうだったのだ。

「仕事の合間にネットサーフィンをする習慣がついてしまって。こういうときに風俗というのはやっているんだろうかとちょっと調べたら、案外やってましたね。あんな時期だからこそ、癒やしを求めていた男たちが多かったのかもしれません」

 ふっと目に入ったのがSMという文字だった。心の奥がずきんと疼いた。20年以上たって、封印した箱が開いてしまったのがわかった。今、こんな時期だからこそストレス解消をしたほうがいいと自分に言い訳をした。

「SM系のクラブに行ってみたんです。女王様に鞭で打たれてみて涙が出るほどうれしくて興奮して。あんな喜びは生まれて初めてでした。同時に、こういう関係を、パートナーと1から作って行きたいという思いにかられました」

SMの中でしか生きられない人

 ネットで探せばいいと女王様が教えてくれた。勇んで帰って探すと、そういうマッチングアプリがいくらでもあった。怖い思いはしたくない、損もしたくない。純粋に欲求の合う相手がほしかった。

 ところがなかなか見つからなかった。再び、SMクラブに行き、女王様に話してみた。そもそもあなたはどんなプレイがしたいのと言われ、そうか、これは恋愛でも友情でもなく、「プレイ」という名の芸術なのだと晴也さんは思ったそうだ。

「自分が何をしたいのかもはっきりわかっていないのだから、相手が見つかるわけもない。僕はたぶんSでもMでもあるんですよ。プレイを通して、限界ギリギリのところまで追いつめたり追い込まれたりしながら、相手と魂を共有したい」

 饒舌になっている晴也さんの表情を思わず盗み見てしまう。SMをこよなく愛する人、というかSMの中でしか生きられない人がいるのだと痛感する。

「2年前、ようやく理想の相手と巡り会いました。痛みと快感を共有しながら、ぎりぎりのところで人としてつながれる。僕はようやく、自分の理想の生き方を手に入れることができた気がしました」

 神経をすり減らしながら激しいプレイを求め、相手にも与える。それが愛であり、自分が生きている証でもある。だがそれは恋愛感情ではない。ということを彼は言葉を尽くして語ってくれた。しばらく話してから、「すみません。ひとりで盛り上がって」と詫びた。

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