「実は国民の3人に1人が患者」 頭痛専門医が教えるマッサージ法と食事 「チョコはダメ、コーヒーが有効」
マスクを着けることもリスクに
「上半身の姿勢」の問題である首のこりと、「下半身の姿勢」の問題であるあぐらやハイヒールは関係ないのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、体の筋肉は連動していますので、首だけでなく、体全体を「良い姿勢」に保つことが重要なのです。
筋肉の連動という点で言えば、マスクを着けることも表情筋をこわばらせますから、感染症対策として重要である一方、緊張型頭痛にとっては気を付けるべきことの一つです。
また、首のこりをほぐすことが大事とはいえ、首回しはお勧めできません。首には脊髄が通り血管や交感神経などが張り巡らされていて、首を回すことで神経や血管を傷つけてしまう危険性があるからです。
その代わりに、首こりを和らげるのに有効なのが「胸鎖乳突筋」を自分の指先でほぐしてあげることです。入浴後の筋肉が緩んでいる状態でほぐすとさらに効果が高まります。
首こりを解消するマッサージ
胸鎖乳突筋とは、首こり筋とも言われるまさに首のこりをもたらす筋肉で、耳たぶの後ろにある骨の出っ張り(乳様突起)から始まる筋肉です。
ほぐす筋肉を間違えると全く効果は出ませんので、確実に胸鎖乳突筋をもむことが大切です。ポイントは、乳様突起から「真下」に伸びている筋肉ではなく、「やや前斜め下」に伸びている筋肉が胸鎖乳突筋だということ。実際、首にこりを覚えている人は、「真下」の筋肉をやや強めに押してみてください。ほとんど痛みを感じないはずです。一方、「前斜め下」の筋肉を強めに押すと、かなり痛いはずです。
他には、眼精疲労も首こりの要因になるので、「眼輪筋」を温めるのも効果的です。
こうして、姿勢に気を付け、温めたり、筋肉をほぐすといったことで緊張型頭痛は予防が可能ですが、片頭痛はどうでしょうか。
「チーズと赤ワイン」の組み合わせは最悪
まずは食事について。チーズをつまみに赤ワイン、これは左党にとって最高の組み合わせでしょう。しかし、片頭痛の観点から考えると「悪い相乗効果」を発揮する恐れのあるコンビネーションなのです。
そもそも、赤ワインに含まれるフェニルエチルアミンという物質に血管拡張作用があり、片頭痛を起こしやすい。その上、赤ワインには、醸造過程が原因で血管を拡張させるヒスタミンという物質が多く含まれています。そして、白ワインよりも体温に近い温度で飲むことが多く、胃腸からの吸収スピードが速くなり、血管拡張が促進されます。さらに、赤ワインに豊富なポリフェノールにも血管拡張作用があります。
また、発酵食品であるチーズにはチラミンという物質が含まれ、これには一時的に血管を収縮させる作用がある反面、必ずリバウンドを起こし、結局は血管を急激に拡張させてしまいます。従って、赤ワインとチーズの組み合わせは、片頭痛持ちにとって要注意なのです。
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