「実は国民の3人に1人が患者」 頭痛専門医が教えるマッサージ法と食事 「チョコはダメ、コーヒーが有効」
片頭痛か否かを見極めるポイント
まず、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」が三大頭痛と呼ばれ、頭痛持ちの90%以上をこの三大頭痛が占めています。群発頭痛は、寝ていても目覚めてしまうほどの猛烈な痛みが特徴で、市販の鎮痛薬は役に立ちません。メカニズムはまだはっきりしないところもあるのですが、有病率は約0.07~0.09%にとどまります。
それに比べ、片頭痛は約1000万人、緊張型頭痛は約3000万人の患者さんがいるとされ、読者のみなさんが抱えているのもどちらかの頭痛である可能性が高いでしょう。ちなみに私は、三大頭痛をいずれも発症したことがあります。
このように頭痛の“代表格”は片頭痛と緊張型頭痛といえるわけですが、同じ頭痛でも対処法は大きく、そして根本的に異なります。前者は「冷やす」、後者は逆に「温める」ことが肝心なのです。
片頭痛は遺伝性が強く、また女性ホルモンであるエストロゲンの分泌低下が大きく関係しているため男女比が1対4と圧倒的に女性に多いのが特徴です。そして、片頭痛か否かを見極めるポイントは、「動くと痛いかどうか」です。
原因の99%は……
片頭痛は血管の拡張が原因です。例えばストレスや低血糖などさまざまな要因によって脳内のセロトニン(幸せホルモン)が消費されてしまい、自律神経や三叉神経の興奮がコントロールできなくなり、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質が分泌されて脳の血管が拡張し、炎症が起きることによって発症します。
従って、痛みが起きてしまった場合には、拡張した血管を収縮させるのが有効であり、そのため頸動脈(のど仏の横)を冷やすことが効果的なのです。また、体を動かすと拡張した血管がさらに拡張して痛みが増すので、動くと痛いかどうかが片頭痛の見極めポイントとなるわけです。なお、片頭痛というと、文字通り頭の片側だけが痛むと思いがちですが、両側に痛みを感じる人が40%もいます。
頸動脈を冷やす際に大事な注意点があります。後頭部は冷やしてはいけないことです。その理由は、次に説明する緊張型頭痛と関係しています。
緊張型頭痛とは、言い換えれば「こり」による頭痛です。インターネットなどでは、「肩こりによって後頭部が重くなる頭痛」と解説されたりしていますが、実際は、原因の99%は「肩こり」ではなく「首こり」です。片頭痛がズキズキと脈打つような痛みであるのに対し、頭全体が圧迫されるような痛みが緊張型頭痛の特徴です。
この頭痛は、こりによって血流が滞ることで起きます。そのため、片頭痛とは反対に、動いてこりをほぐしたほうが楽になる。また、首のこりをほぐすために、後頭部や首の周りを温めることが有効なのです。
首のこりにつながる姿勢
実は、片頭痛持ちの80%は緊張型頭痛を併発しているとのデータがあります。従って、片頭痛だけの人は別として、併発型の人は片頭痛が出てきたからといって、頸動脈だけでなく首の後ろ側まで冷やしてしまうと、こりを強めて緊張型頭痛を助長してしまう恐れがあります。片頭痛の対処法で、後頭部は冷やしてはいけないと説明したのはこのためです。
まとめると、頭痛持ちの多くを占める片頭痛、緊張型頭痛の総合的な対策としては、首は耳より前の部分を冷やす、耳より後ろの部分は温めるのが正解といえます。
また、緊張型頭痛の原因の99%は首こりですから、首のこりにつながる「悪い姿勢」は全てNGです。例えば、頭を突き出した亀のような状態になるストレートネック、いわゆるスマホ首は緊張型頭痛のリスクを大幅に高めます。その他、猫背、脚を組む、あぐら、ハイヒールで歩くのも「悪い姿勢」ですから要注意です。
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