「実は国民の3人に1人が患者」 頭痛専門医が教えるマッサージ法と食事 「チョコはダメ、コーヒーが有効」
その患者数は実に千万人単位に上るというから、もはや「国民病」と呼んでも差し支えないだろう。日常生活を送る上で大きな阻害要因となる「頭痛」。専門医が、ほぐすべき筋肉の場所から“効く食材”や薬の飲み方までを指南する、「頭痛対策完全マニュアル」。【丹羽 潔/頭痛専門医】
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職場にいる時に38度の熱が出たとします。
「そんなに熱があるなら、もう帰ったほうがいい」
コロナ禍の影響もあり、そう言ってもらえることが多いと思います。しかし、頭痛だとしたらどうでしょう。
「そんなに頭が痛いなら、もう帰ったほうがいい」
とは、なかなか言ってもらえないのではないでしょうか。それどころか、「見た目は普通だけど……。本当に痛いの?」などと、疑いの目を向けられることさえあるかもしれません。
たかが頭痛。
日本ではいまだにこうした受け止め方をされる傾向がありますが、「国際頭痛分類第3版」によれば、頭痛は分かっているだけで367種類もある、れっきとした病気です。しかも、何らかの慢性頭痛に悩んでいる日本人は4000万人以上いるとの統計もあります。
にもかかわらず、たかが頭痛と軽視され、市販の鎮痛薬を飲んで痛みをごまかすだけといった対処法が横行している。私に言わせれば、日本は「頭痛後進国」です。
片頭痛で生産能力が53%に低下との研究も
〈こう啓発するのは、日本頭痛学会専門医・指導医の丹羽潔氏だ。2015年に専門医のみによる日本初の頭痛専門クリニックを東京で開設した丹羽氏のもとには、静岡県など関東以外からも患者が訪れ、「頭痛の名医」として知られる。
その丹羽氏が、実に日本人の3人に1人が悩まされている頭痛の正体と対処法を解説する。〉
私自身が頭痛を抱えているので、実感をもって、慢性頭痛の苦しみは生易しいものではないと言うことができます。痛みに加え、いつ発症するか分からないストレスにさらされる。そして、いざ発症すると、「痛過ぎて死んでしまうのではないか」というほどの激痛に襲われるケースもあるのです。
当然、集中力などを著しく損なう頭痛は、仕事を含めた日常生活に支障を来(きた)します。片頭痛で生産能力が53%に低下してしまうとの研究もあり、それによる経済損失は日本で年間約2兆円に上ると推測されています。
その割には、先ほど説明した通り、たかが頭痛と扱われ、医師でさえ「痛み止めを出しておきますので」という程度のことしか言わず、しっかりとした診察を受けられていない患者さんは少なくありません。そこで是非、頭痛を正しく理解してもらうことによって、少しでもみなさんのQOL(生活の質)の改善につなげていただければと思います。
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