東京~山形の往復で売上50万円! 伝説の販売員が接客に目覚めた瞬間とは
かつて、山形新幹線で「伝説の車内販売員」と呼ばれた人、茂木久美子さん。茂木さんは、山形新幹線車内販売員時代の2005年、他の販売員が東京~山形間の1往復で平均7~8万円を売るなか、なんと50万円以上の売り上げを達成し話題となる。そんな彼女が接客の楽しさに目覚めたきっかけは、お客様からの何気ない質問だった。
(前後編の前編)
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※この記事は、『一流は何を考えているのか』(西沢泰生著、Gakken)の内容をもとに、一部を抜粋/編集してお伝えしています。
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茂木さんが接客に目覚めたきっかけ
その質問は「こっちの席は紅葉が見えますか?」というもの。茂木さんは、つい、気を抜いた返事をして、それがお客様に大ウケしたのです。
(問題)「こっちの席は紅葉が見えますか?」と聞かれ、彼女は何と答えたでしょう?
(ヒント)茂木さんは山形生まれ、山形育ちでした。
・・・
・・・
・・・
(答え)「んだ」
いつもは標準語で接客するように気をつけていたのに、うっかり、山形弁で答えてしまったのです。この返事を聞いたお客様は大爆笑。茂木さんは、恥ずかしさから真っ赤になってしまいます。
しかし、このとき茂木さんは気づきます。「あっ、山形弁でやっていいんだ」
実は、そのほうが旅心を刺激されて、お客様が喜んでくれるとわかったのです。以来、お客様に喜んでもらうことに目覚めた茂木さん。
ときには、お客様に「山形弁クイズ」を出題し、「私が後ろの車両に行っている間に考えてくださいね。じゃあ、答えは戻って来たときに」と楽しんでもらったり、リピーターのお客様の誕生日を覚えていて、お菓子をサービスしたり、「サクランボが欲しい」というリクエストにお応えし、お金をもらって、あとから個人的に郵送したり……。
自分も楽しみながら、お客様に楽しんでもらうサービスを展開。彼女の売上額が多かったのは、もちろんそんなサービスだけが理由ではありません。たとえば、「後ろ歩きで台車をひっぱり、駅弁を買おうと手を上げているお客様の取りこぼしをなくす」とか、「引き算の暗算をひたすら勉強して、お客様がいくらのお札を財布から出そうとしているかを見て、先に計算し、瞬速でお釣りを渡す」など、さまざまな努力が積み重なっていることも見逃せません。
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