意外な国で「日中トイ戦争」勃発 “カプセル”vs“アート”…日本勢に勝ち目はあるか

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両者が並ぶ現場を訪れてみると…

 「日中トイ戦争」の現場のひとつ、バンコクの繁華街アソーク駅の地下通路を観察してみた。日本のカプセルトイとは見た目こそ違うが、日本のキャラクターを売っているカプセルトイの機体が約10台。その隣に、中国系メーカーの機体が約1台あった。その1台には人が集まるが、それと比べて、日本のカプセルトイの売れ行きはさみしいほどだった。

その光景を見ながら、以前、中国系店舗の店員の言葉を思い出した。

「日本のカプセルトイは何が出るかわからないけど、うちは好みのトイが選べるから、お客さんは好みのフィギュアなどを求めて店に行きます。中国のトイは、流行ってますし」

 日本のカプセルトイの「何が出るか分からない」楽しみは、どうやらタイでは求められていないらしい。

中国系のトイを買った何人かに話を聞いてみると、「奇妙でかわいい」「大人も好きになる要素がある」「可愛い芸術作品で、集めたり飾ったりできて癒される」「いろいろな種類のデザインがあって、集めるのが楽しいし可愛い」といった反応が返ってきた。

 24歳だという女性会社員・Sさんは、

「家には中国系のアートトイが4体あります。ひとつ380バーツ(約1,700円)ほどだったかな。この価格はそれほど高いと感じません。子どもの頃、おもちゃがほしくても買えなかった。家がそんなに裕福じゃなかったから。でも、今は自分の給料で手が届く」

 20歳の女子大学生・Pさんも頷く。

「アートトイは可愛くて好き。今日買ったのは320バーツ(約1,440円)。別に高い値段とは感じない」

「日中トイ戦争」の勝敗はすでに決まってしまったのか。アニメキャラクター人気に支えられた日本のカプセルトイに、いまのところ勢いはない。

澤野綾香(バンコク在住ライター)

デイリー新潮編集部

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