意外な国で「日中トイ戦争」勃発 “カプセル”vs“アート”…日本勢に勝ち目はあるか

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 「ガチャガチャ」「ガシャポン」として日本でおなじみのカプセルトイは、タイでも高い人気を誇っている。バンコクの繁華街やショッピングモールの一角には、日本でも見慣れた機体がズラーッと並んでいる。やり方も日本と同じで、機械に100バーツから150バーツ(約450円~675円)を入れると、フィギュアやおもちゃなどが入ったカプセルがコロンと出てくる仕組みだ。もちろん、なにが出てくるかはわからない。

 現地コンテンツの玩具が入ったものもあるが、それと比べると日本のカプセルトイは少しだけ値段が高い。にもかかわらず、日本のキャラクターの商品が多いため、人気なのだ。ドラえもん、クレヨンしんちゃん、「千と千尋の神隠し」のカオナシ、「魔女の宅急便」のジジ……。買っていくのは、子供というより、日本のアニメで育ったタイの若者たちである。

 しかしこの状況が、一気に変わりつつある。「アートトイ」といわれる、デザイン性の強いフィギュアやおもちゃを武器に、中国企業が参入したためだ。業界では「日中トイ戦争」とまでいわれている。しかも、どうやら、日本のカプセルトイの旗色は悪い。

昨年9月の衝撃

 発端は2023年9月、中国のデザイナーズ玩具メーカー「POP MART」が、バンコクの中心街に店舗をオープンしたことだった。当日、店頭には開店前から長蛇の列ができた。この種のおもちゃは、レアものになると、将来的に値があがる可能性もある。そんな期待から大量購入に走った者も一部にはいたようだが、タイの若者のアートトイに対する関心の高さを裏づける盛況だった。

 日本でも知られるタイ生まれのキャラクター「マムアンちゃん」のように、ポップなアートトイは、かねてよりタイの若者の間でも人気だった。しかし、それ以上に中国系の勢いはすごい。

 今や、「POP MART」に新しいアートトイが入荷すると、平日の日中でも、会社員と見られる人たちがずらりと列を作っている。店から出てきた人の手には大きな紙袋。彼らの顔は満足げだ。「POP MART」に訪れる人は、若者だけでなく、30代と思しき年代も多かった。

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