「闘病中なのに執筆で完全徹夜」 余命宣告された森永卓郎がフルスピードで駆け抜ける理由 「書籍12冊を同時執筆」
書籍はゼミ生に譲渡
亡くなった親の遺産がどこにあるのか分からない。そんな経験をした方も多いはず。余命宣告を受けた経済アナリストの森永卓郎氏(67)がまず案じたのは残される家族の苦労だった。預金や株、膨大な本やコレクションはどうする?
前編【「桜の花は見られない」余命宣告された森永卓郎が独白 「延命にこだわらない私が月100万円の治療を受ける理由」 資産の終活のウラ側も 】では、森永氏が「資産の終活」に振り回される様子について記してもらった。以下は、金融資産の整理と並行して進めていたという、膨大な資料やPCの整理、処分についての本人の記録だ。
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金融資産の生前整理と並行して進めたのが、書籍などの資料の整理だ。40年以上、経済分析の仕事を続けていると、どんどん資料がたまっていく。特に書籍は、家にあふれ、事務所にあふれ、一番あふれていたのが、大学の研究室だった。
そこで、まずゼミの学生を研究室に招き入れて、欲しい書籍を欲しいだけ持ち帰ってよいと話した。それで書籍の量は数割減少した。もちろん仕事は継続中だから、必要な書籍がなくて困る事態が生ずる懸念があった。実際、それは起きたが、いまはよい時代になっていて、経済の専門書がメルカリですぐに再入手できた。しかも、とても安い価格だった。
12万点のコレクションの評価結果は「ゼロ」
一方、引き取り手のない書籍は、遺品整理業者に依頼して、7月に一気に処分した。業者によると、書籍の場合は筋がよくて、10万円足らずの費用を支払うだけで済んだ。彼らは売却できる引き取り品を市場で売却するのだが、書籍の場合はかなりの割合で売却できるので、運搬などの最低限の費用で仕事ができるからだ。本当に大変なのは、雑多な廃棄物が交ざる本物の遺品整理だそうだ。廃棄物を分別するための人件費や、産業廃棄物処理やリサイクルのための費用がかさむので、一人暮らしの世帯でも、最低数十万円の費用負担は避けられないという。
ちなみに私は、ミニカーや食品パッケージ、お菓子のおまけなど、60種類、12万点のコレクションを展示する「B宝館」という私設博物館を運営しているのだが、何年か前にテレビ局が鑑定士と弁護士を連れてきて、1日がかりで「全館鑑定」をするというロケが行われた。評価結果は、「ゼロ」だった。
私は市場価値のあるものも存在すると鑑定士に抗議したのだが、鑑定士いわく、市場価値のあるコレクションも確かにあるが、産業廃棄物の処分費用を勘案すると、トータルではゼロになると言うのだ。そのやり取りをそばで聞いていた弁護士が顔を突っ込んできた。
「森永さん、結果的によかったじゃないですか。これでコレクションに関しては、相続税の納付は不要ですよ」。個人的には、私のコレクションは、100年後には世界遺産に変貌すると考えているのだが、現時点の評価はそんなものなのかもしれない。
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