五輪連覇の中国17歳“天才少女”が「帰って!」と絶叫 ツアー客が実家を取り囲んで大合唱、ドローンで上空から撮影のやりたい放題

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家族のために頑張る天才少女

 8月11日に幕を閉じたパリ五輪。米国と並んで金メダル40個を獲得した中国では、帰国した選手団が「凱旋ツアー」として各地を巡った。中でも大人気だった選手は女子高飛び込みの17歳、全紅嬋(ゼン・コウセン)だ。14歳で臨んだ東京五輪では10メートル高飛び込みで金メダル。パリ五輪では同種目で連覇を果たし、10メートルシンクロ高飛び込みでも頂点に輝いた「天才少女」である。

 東京五輪では審査員全員が満点を付ける演技を2度も披露した彼女だが、人気の理由は天才的な演技だけではない。全紅嬋の出身は飛び込み競技の名選手を多く輩出している広東省湛江市の貧しい農村で、実家は果物とサトウキビの農家だ。

 そんな農村で7歳から飛び込みを始めた彼女は、東京五輪で金を獲得した際に「母の病気治療に多額のお金が必要です」と語った。飛び込みで良い成績を上げ、報奨金などを稼ぐことはすべて家族のためなのだ。そんな「頑張る天才少女」を悪く思う人はそういない。そして今回のパリ五輪で収めた見事な成績は、彼女を大スターの座に押し上げた。

 凱旋ツアーを終えた彼女は、次のシーズンに向けた休暇に入った。2年ぶりに農村の実家に帰省し、家族や親族と過ごす充電期間となるはずだったが、どうやらリラックスとは無縁の日々が続いているようだ。その理由は商魂たくましい旅行会社による「訪問ツアー」である。

実家前で観光客がやりたい放題

 全紅嬋の実家に観光客が集まる状況は東京五輪の頃からで、訪問ツアーの存在も以前から報じられていた。だが、9月12日に全紅嬋が実家に戻ってからは状況が悪化。中国メディアの報道によれば、実家の前に集まった観光客が昼夜を問わずやりたい放題だという。

 帰宅した初日の全紅嬋は観光客にスイカを配るなどしたが、日が暮れても人だかりは消えず。ついにはベランダから「うるさいです! 私たちは休息が必要です!」と大声を張り上げ、翌朝も「帰って! ここはうるさすぎます!」と叫ぶ羽目になった。

 だが、これは単なる始まりに過ぎなかった。14日にはドローンで上空からの撮影を試みる不埒者も現れ、村が空撮を禁止する事態も発生。ある村幹部は「制止に応じないなら撃墜するだろう」と発言したという。中秋節の連休に入った15日以降も、親族と思われる赤ちゃんを抱いた全紅嬋が車に乗り込もうとした際、その姿を撮影するファンに対して「動かないで!」と鋭く叫ぶ様子の動画もネット上で出回った。

 迷惑集団の中にSNSの配信者が多数いることは言うまでもなく、全紅嬋が現れるとスマホを手にした集団が大移動する様子の動画は中国SNSに山ほどある。それに加えて、無邪気すぎて限度がわからなくなった一般人もいるようだ。

 中でも異彩を放ったのは年金暮らしのおばあちゃん軍団である。全紅嬋が会見で掛けていた「五輪メガネ」を全員がお揃いにして村に乗り込み、実家前で第2国歌の「歌唱祖国」を大合唱。しかも、歌い踊りながら道を進み、授業中の小学校前を通り過ぎたという。中国SNSでは楽しげに熱唱するおばあちゃん軍団の動画に「迷惑すぎる」「早く逮捕を」といった非難コメントが殺到した。

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