5年連続トップ!さいたま市の英語力 伝説の教育長が説く、子どもに「世界基準の英語力」を身につけさせる具体的方法

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家庭で叶える「世界基準の英語力」を身につける方法

 細田氏は「このさいたまメソッドは、どんな家庭でもできます」と断言する。

 まず、0歳からの乳幼児期から小学校卒業までは、市販の英語のビデオや音楽などで、とにかく英語のシャワーを浴びせる。

「日本語にはない発音を聞き取る英語耳を作ることが大事です。子どもが好きそうなもの、継続してできそうなものを選び、保護者も一緒に歌ったり踊ったりしましょう。決して『もっと元気良く声出して』などと言わないことです。子どもは楽しいとどんどんやりますから、その環境を作ってあげましょう。子どもは楽しいと続きが知りたくなるものです。すると自走していきます」

 次々と新しいものを与えたくなりがちだが、同じ音楽、同じ童話などを繰り返し流すのがポイントだ。幼児期から小学校卒業まで、毎日1時間程度の英語のかけ流しができれば、“音の貯金”はたっぷり積める。英語への興味が強くなってきたら、音が出る絵本や音声付きの絵本を子どもの側に置いてみることも効果的だ。もし、子どもが読んで聞かせてくれた時には、思い切り褒めてお礼を言うと、ますます好きになってくれる。

 この時期、子どもがテレビゲームなどやり始めると、つい「それよりこっちをやったら」などと言いたくなりそうだが、「そこはぐっと我慢です。興味にも波がありますから、無理強いしないでいると、また戻ってきます」という。

 近所で行われている英語イベントに連れて行くのもおすすめだ。

「英語の七夕、英語のクリスマスパーティーなど、『美味しいクッキーがあるみたいよ。お母さん、行ってみたいから一緒に行かない?』と誘って、外国人と交流する体験を積み重ねましょう。英語を学ぶ動機付けになります」

 実際、細田氏は自宅に外国人の友人を招き、ひな祭りや夕涼み会などの行事を楽しんでいたことで、お子さんの英語の興味が高まったそうだ。

 中1の「架け橋期」は、小学校時代の英語の楽しさを大切にして、聞く・話すという音声指導を継続しながら、徐々に読み書きを取り入れる。教科書はよくできているので、ぜひ使い倒したい。

「QRコードが付いて、音声をすぐに活用できる教科書も多くなっていますから、それを活用して音読を徹底的に行いましょう。家庭で音読が習慣付けられたら、大成功です」

世界基準の英語力に必須の「知的好奇心」を育むために

 世界基準の英語力に必須なのは、「幼いときから、知的好奇心を育むことです」と細田氏は力説する。

「あなたは何がしたいのか、どう思うのか、幼いときからの言葉がけが、~~したいという内側から溢れてくるパッションを育てます。今は待てない親が多いので、親が先回りして~~したいんだわ、と察して用意してしまいがちです。そこを待って、自分の思いを言語化できるようにしましょう。そして、子どもの疑問に親は真剣に向き合って、一緒に調べましょう。世界は常に変わり続けています。世界で起こっていることに関心を持つよう、うまく働きかけましょう」

 親の言葉かけや態度が、世界の課題を解決したいという意欲につながるという。世界の人々とわかり合い、世界の課題を解決しようとする、世界基準の英語力、あなたの家庭でも育める可能性に満ちているのだ。

細田眞由美(ほそだ・まゆみ)
埼玉県立高校の英語教諭、教育委員会、校長などを経て、2017年から6年間さいたま市教育長を務める。文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会臨時委員、経済産業省産業構造審議会教育イノベーション小委員会委員、日本ユネスコ国内委員会委員などを歴任。東京大学公共政策大学院講師、兵庫教育大学客員教授、うらわ美術館館長。著書に『世界基準の英語力――全国トップクラスのさいたま市の教育は何が違うのか』(時事通信社)。

小山美香(こやま・みか)
大学時代からフリーライターに。大学卒業後は「サンデー毎日」(毎日新聞出版)の編集記者を経て、フリーランスに転身。中学受験情報サイトでのべ160校以上の私立中学校高等学校を取材したほか、現在は不登校や通信制高校、子ども食堂など、子どもをめぐる事象について取材・執筆。著書に『中学受験をして本当によかったのか? ~10年後に後悔しない親の心得』(実務教育出版)がある。

デイリー新潮編集部

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