「介護の不安」で81歳妻を絞殺した87歳夫に懲役8年 「自分が残った方が子供たちに迷惑をかけない」58年間連れ添った妻を殺めた“身勝手すぎる理由”

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京子さんの

 その後長男も証言台に立ってこう願い出た。

「私は父母の介護をするために退職しましたが、2人ともいなくなってしまいました。父にはなるべく早く出られる刑にしていただき、1カ月でも2カ月でも長く介護して看取らせてください」

 全ての遺族が寛大な刑を望む展開に、法廷内は吉田への同情に傾いたように見えた。だが被告人質問が始まると空気は徐々に変わっていった。

 吉田は「自分が残った方が子供たちに迷惑をかけない」と考えて京子さんに手をかけたと語った。だが直前までの生活実態をよく聞けば、京子さんはまだ介護を必要としているような状態ではなく、吉田が過度な負担を強いられていたとは言えない状況だった。

 京子さんの”無念”を代弁しようとしたのは、20代と思しき若き検察官2人だった。

後編【「介護の不安」で58年間連れ添った妻を絞殺した87歳夫に懲役8年の実刑判決 法廷で「涙ひとつ見せなかった被告」に裁判長が放った言葉】では、被告人質問の詳細、吉田に懲役12年を求刑した検察官の論告、そして判決で裁判長が吉田に向けた「厳しい言葉」について報じている。(文中呼称略)

デイリー新潮編集部

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