由紀さおりの別れ歌は「メロディー、歌詞、歌、完璧です」 クレイジーケンバンド横山剣の「いまだに泣ける名曲」5選

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第1回【クレイジーケンバンドに「今までなかった曲調」をもたらした「愛犬の死」 横山剣が「新作は全曲最高」と言い切れる根拠】のつづき

 クレイジーケンバンド(CKB)の曲は、楽しさのなかにちょっぴり切なさがにじむものが多い。インタビュー第1回で語った新アルバム「火星」(発売中)でも、愛犬のチワワの死がきっかけで生まれたラストの曲がその一つだ。メロディー・メイカーとしての評価も高い横山は、リスナーとしてどんな曲を聴き、愛してきたのか。第2回では、長く聴き続け、今も涙してしまう5曲についてじっくりと語ってもらった。【ライター/神舘和典】

(全2回の第2回)

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小学校低学年で聴いた「大人の曲」

1:「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキン

 愛のささやき、そして艶めいた声……。ベッドの上の男女の“あれこれ”を音楽にした曲。もともとはゲンズブールが交際していた女優、ブリジッド・バルドーに書き、2人によってレコーディングされた。しかし、バルドーには夫がいたため封印する。その後、1968年にゲンズブールが、当時内縁の妻だったジェーン・バーキンと再びレコーディングした。

横山剣「涙なしでは、というテイストの音楽ではないのに、僕の涙を誘う曲なんです。くり返されるオルガンのメロディーに涙を流させるツボがあるんじゃないかと感じてます。この曲を初めて聴いたのは小学校低学年のとき。父が自宅でよくかけていました。父はゲンズブールが大好きでしてね。部屋を暗くして、赤い照明をつけて家族で聴きました」

 実はこの曲、70年代には日本の要注意歌謡曲指定制度(1988年に失効)でAランクとされ、放送禁止になっている。

フランシス・レイ艶めかしいメロディー

2:映画「男と女」のテーマ

 1966年公開、クロード・ルルーシュ監督のフランス映画「男と女」のテーマ曲。作曲はフランシス・レイ。ピエール・バルーとニコール・クロワジールの歌うスキャットに哀愁が感じられる。

「フランシス・レイのあの艶めかしいメロディーが鳴るだけで、まぶたの裏に南フランスのドーヴィルの海岸やモナコのモンテカルロの風景が浮かびます」

 映画の主演はジャン=ルイ・トランティニアンとアヌーク・エーメ。妻が自ら命を絶った男と、レーサーの夫を事故で失った女の恋愛が描かれる。

「ワケアリの男女の物語です。この映画を観たのと前後して僕の両親が離婚したことと、アヌーク・エーメの夫がフォード・マスタングを運転しているレーサーという設定で、クルマが好きな僕が感情移入してしまう。それも泣けてくる理由です」

 横山は野宮真貴とのデュエットで、この曲をカバーしている。

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