伊藤蘭が語る、昭和のキャンディーズ時代から、令和になって変わったこと・変わらないこと コンサートは「若い方でも絶対に楽しめると思います」

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記録と記憶で読み解く 未来へつなぐ平成・昭和ポップス 伊藤蘭(全3回の第3回)

 この連載では、昭和から平成初期にかけて、たくさんの名曲を生み出したアーティストにインタビューを敢行。令和の今、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービス(サブスク)で注目されている人気曲をランキング化し、各曲にまつわるエピソードを深掘りすることで、より幅広いリスナーにアーティストの魅力を伝えていく。

 今回も、伊藤蘭に話を伺う。インタビュー第1弾、第2弾ではキャンディーズ時代の人気曲や隠れ名曲を中心に考察したが、今回は令和にソロ歌手としてデビューした以降の楽曲や、近年のコンサートについて語ってもらおう。

伊藤蘭による作詞曲が好評も「毎回、追い詰められて書いている状態(笑)」

 まずは、前回の続きとなる伊藤蘭部門でのSpotify人気曲第4位から。第4位は、1stアルバム『My Bouquet』収録で、逆境に立ち向かっていくような歌詞と勇ましい曲調がマッチしたアッパーチューン「女なら」。作詞は伊藤蘭自身が手がけている。他にも第7位の「Wink Wink」、第8位の「愛して恋してManhattan」と、自作詞曲が上位入りしており、ファンに好評のようだが、本人はどういった気持ちなのだろうか。

「『女なら』は、曲が先にあり、スタッフから“蘭さん、詞を書いてみてはどうですか?”と言われて作ってみました。作詞は…やればいいのにねぇ(苦笑)! なかなか進まないんです…。毎回、スタッフに追い詰められて書いている状態で、夜寝る前に自分の部屋にこもって作業しています。私は、メロディーとしっかりと向き合って何度も聴くことで、やっと歌詞ができるタイプなんですよ。でも、これだけたくさん聴いてくださっているなら、今後もやるべきですよね(笑)」

 第5位は、ユニコーンの奥田民生とウルフルズのトータス松本との共作による「春になったら」。春をモチーフにした明るい曲調や、“ラン、ラン”という二人の楽しげなコーラスから、彼らのキャンディーズ愛が溢れまくっている。

「『春になったら』は、随所にキャンディーズっぽさを挟みながら作ってくださっていますよね(笑)。ちなみに、トータスさんにはこれまで、ソロアルバムに3作連続で提供していただいています。他には、井上陽水さんに書いていただいた第10位の『LALA TIME』も、穏やかで好きな曲ですね」

 前述の「春になったら」のようなキャンディーズへのオマージュとなる楽曲もあるが、全体としてはアイドルらしい歌謡曲やその延長ではなく、洗練された軽やかなポップスばかりなので、キャンディーズを知らないJ-POPファンにもオススメしたい。それでいて、歌詞カードを見ずとも言葉がこちらにしっかりと伝わる歌声は、キャンディーズ時代に厳しく鍛えられた賜物と言えるだろう。

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