「“死球”を与えた投手や監督が相手チームに謝罪」はなぜ増えたのか 死球に泣いたレジェンド打者が明かす「令和のプロ野球で謝罪が目立つ」理由
日本プロ野球(NPB)で、投手が打者に死球を与えた際、投手本人だけでなく、監督をはじめコーチ陣まで相手側に謝罪することが増えている。小学校高学年で昭和のプロ野球を応援していたファンは今、40代後半。当時、死球による謝罪など滅多に目にしなかった。それより前に生まれた50代、60代……のファンともなれば、昨今の死球事情に“隔世の感”を覚えるのではないか。
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まず謝罪の実例から見てみよう。8月7日の楽天・日ハム戦で7回裏、楽天の鈴木大地が打席に立つと、日ハムの山崎福也が投じた初球が鈴木のヘルメットを直撃。山崎は危険球で退場を命じられた。
鈴木はベンチに下がったが、すぐに復帰。そして8回表の攻撃が始まる前、日ハムの新庄剛志監督がグラウンドに入り、鈴木に歩み寄ると肩を数回、軽く叩いた。新庄監督が謝罪の意思を伝えたため、鈴木も帽子を取って応えた。
新庄監督は2022年8月6日の対オリックス戦でも謝罪を行っている。この試合でオリックスの右翼・杉本裕太郎が2打席連続で死球を受け、両軍選手がベンチを飛び出した。この際、新庄監督はオリックスの中嶋聡監督と杉本に謝罪した。
9月15日の広島・DeNA戦では5回表、広島の常廣羽也斗のストレートがDeNAの山本祐大の右腕付近を直撃。山本は途中交代となり、翌16日に骨折で今季絶望と判明した。このため試合前のメンバー表交換で、広島の新井貴浩監督はDeNAの三浦大輔監督に謝罪を行った。
広島とDeNAは3月と8月に死球を巡って乱闘寸前の騒動が起きており、両チームにわだかまりが残っているとの指摘もあった。この経緯を踏まえ、新井監督の謝罪はスポーツメディアの注目を集めた。
阪神・ビーズリーも異例の謝罪
9月15日、西武・ロッテ戦では7回裏、西武の野村大樹にロッテの佐々木朗希が投じたフォークがすっぽ抜けたようになり、野村の頭部を直撃した。野村には代走が送られ、途中退場。佐々木もプロ初の危険球退場となり、死球後に帽子を取ったほか、試合後も「申し訳なかったと思います」との謝罪コメントを発表した。
さらに翌16日、試合前に佐々木は西武の一塁側ベンチに向かい、頭を下げた。この時、ロッテの黒木知宏・一軍投手コーチが付き添って共に謝罪を行った。
外国人投手が謝罪を行ったこともある。9月6日、ヤクルト・阪神戦で2回裏、ヤクルトの中村悠平が打席に立つと、阪神のジェレミー・ビーズリーが投げたツーシームが中村の左手を直撃。中村が苦しそうな表情を浮かべる中、ビーズリーは帽子を取ってヤクルト側に謝罪した。
デイリースポーツはビーズリーの謝罪に注目し、《米国では死球を当てて謝罪する文化がなく、助っ人としては異例の行動》と記事で報じた。ちなみに試合後もビーズリーは《本当に申し訳なかった。狙って絶対に当てたりはしないので、本当に申し訳なかったので謝りました》とコメントしている(註1)。
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