自民総裁選で「予想合戦」に終始するメディアに問題はないのか…政策は二の次で「ただの人気投票」に

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これを知ったとして

 27日に投開票される自民党総裁選に向け、9人の候補者が全国各地で公開討論会を開くなど、大きな盛り上がりを見せている。その様子は連日トップニュースとなり、各候補の主張が伝えられる。選挙権があるのは国会議員と全国の自民党員だけだが、次の総理を決める選挙として各メディアは重要視しているのだろう。

 そんな中、共同通信が実施した情勢調査の結果が9月17日の朝刊一面に登場。これを読んでいて「この動向調査ってものは本当に必要なのだろうか……」という気持ちになった。見出しは「小泉、高市、石破氏が先行 自民総裁選、決選投票の公算」とあり、予想得票数がグラフで記されている。順番は以下の通り。

 高市早苗氏→石破茂氏→小泉進次郎氏→林芳正氏→小林鷹之氏→上川陽子氏→河野太郎氏→茂木敏充氏→加藤勝信氏

 読者がこれを知って果たして何の得になるのだろうか。無論、情勢調査は国政選挙でも都知事選挙でも行われているが、調査結果公表が関係者等に与えるネガティブなポイントを考えてみた。

政策がないがしろに

【1】トップ3人以外の候補がやる気を失い、総裁選後の組閣入りを睨んだ発言を討論会等ではするようになる。さらに、同時に誰に対して忠誠を尽くすか、を決めたうえで根回しを開始する恐れがある。
【2】自分の貴重な一票が死に票になると考える人が、本当に政策を支持している候補への投票をやめ、この3人の中でもっとも支持する候補者に投票をするようになる。
【3】政治のことを考えることで世の中をより良くすることができると考える有権者が棄権に回り、「どうせ私の一票なんかじゃ変えられないんだ」と政治離れを加速させる。
【4】やろうと思えばメディアが推したい候補を情勢調査で上位にすることができる。
【5】ただの人気投票になる。

 そう、問題は、有権者が投票先を決める要素が、候補者が抱える政策ではなく、「ルックス」「人柄」「派手さ」「トークの上手さ」「人気」となる選挙になってしまうことなのだ。都知事選を見てもそうだが、結局メディアが大きく取り上げる候補を決定し、その数名による争い、という構図を作り出す。もちろん泡沫候補が多数出馬するため仕方がない面もあるが、過去4回の都知事選を考えると明らかにその数名に割く時間や文字量が多いのだ。

2014年:舛添要一氏、宇都宮健児氏、細川護煕氏
2016年:小池百合子氏、増田寛也氏、鳥越俊太郎氏
2020年:小池百合子氏、宇都宮健児氏、山本太郎氏
2024年:小池百合子氏、石丸伸二氏、蓮舫氏

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