キャンディーズが意識したのは“可愛いアイドル”ではなく「コーラスやユニゾンを活かせるグループ」、人気曲の収録秘話を伊藤蘭に聞く
ラストシングル「微笑がえし」で見せた3人のチームワークにスタッフも涙
そして第3位は、レコードでは最大のヒット(累計82万枚以上)となった、「微笑がえし」。解散前のラストシングルということもあり、キャンディーズ歴代シングル曲の要素を散りばめた“企画もの”と思われがちだが、同棲していた恋人と別れるというストーリーや、3人の絶妙なハーモニーなど、クオリティの高い作品としても成立している。
「『微笑がえし』は、今までの楽曲のフレーズやサウンドをふんだんに取り入れた豊かな楽曲ですね。明るく笑って、でも、ちょっと切なくて。この曲をレコーディングした時は、スタジオに入ってから譜面を初めて見るくらい忙しくて、練習時間もほとんどなかったのですが、3人のチームワークで歌えちゃったんですよ。本当に息もピッタリで。だから、レコーディングが終わった瞬間、周りのスタッフはとても感傷的になったと後から聞かされました」
ランキング表を見てみると、「春一番」「年下の男の子」「微笑がえし」のTOP3は、いずれも穂口雄右が作曲と編曲を手がけている。
「そうなんですよ! 穂口先生の作品は、アレンジも凝っていますし、今聴いてもおしゃれですよね。中でも『微笑がえし』は、作詞していただいた阿木燿子さんのほうから、“最後だから穂口さんがいいんじゃない?”と推してくださったそうです。先生にはデビュー前から、特にハーモニーに関して熱心にレッスンをしていただいて、とっても感謝しています。キャンディーズは、私たち3人も、作ってくださる周りのスタッフも、コーラスやユニゾンをちゃんと活かせるグループを目指していたんです。
特に、シングル7作目の『その気にさせないで』(Spotify第14位)は、海外のスリー・ディグリーズとか、日本でもアップルズ(後に、コーラスグループ”EVE“と改名)とか、すごい実力派が出てきたことを受けて、私たちもハーモニーを勉強しながら歌っていました」
確かに、このソウルフルな楽曲「その気にさせないで」から、パンチの利いた作品が増えたような気がする。考えてみると、近年のアイドルグループは大人数でのユニゾンを持ち味としているのに対し、キャンディーズは、たった3人でも、パワフルなユニゾンからラグジュアリーなハーモニーまで聴かせる。そこには裏打ちされた目標や努力があり、それゆえ、半世紀ほどたった今でも魅力的な作品が多いのだろう。
インタビュー第2回では、TOP3以外の楽曲や隠れた名曲、さらに、伊藤蘭のソロ作品の中での人気曲について尋ねてみたい。
《INFORMATION》
ニューシングル「風にのって~Over the Moon」発売中
〈収録曲〉
1. 風にのって〜Over the Moon
2.大人は泣かない
3.風にのって〜Over the Moon (オリジナル・カラオケ)
4.大人は泣かない (オリジナル・カラオケ)
『伊藤 蘭 ~Over the Moon~ コンサートツアー 2024-2025』開催中
指定席:税込9900円/U-18シート:税込5500円
〈今後の公演〉
2024年
・埼玉 9.19(木) 大宮ソニックシティ 大ホール
17:30開場 / 18:30開演
・名古屋 9.23(月・振休) 愛知県芸術劇場 大ホール
17:00開場 / 18:00開演
・福岡 9.28(土) キャナルシティ劇場
16:00開場 / 17:00開演
・熊本 9.29(日) 熊本県立劇場 演劇ホール
16:00開場 / 16:30開演
2025年
・京都 1.12(日) ロームシアター京都 メインホール
16:00開場 / 17:00開演
・神戸 1.13(月・祝) 神戸国際会館こくさいホール
16:00開場 / 17:00開演
・東京 1.25(土) 東京ガーデンシアター(有明)
16:00開場 / 17:00開演
(取材・文:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)
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