監督室の窓にコーラの瓶を… 監督の「非情采配」に交代させられた投手がブチ切れ! 過去には「舌禍事件」や「破壊行為」も

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 DeNA・三浦大輔監督が8月20日の中日戦で大貫晋一、同25日のヤクルト戦でケイと、いずれもあと1人で勝利投手の権利が得られる5回2死に交代を命じる“非情采配”を見せた。大貫は1点リードの2死満塁での交代だったが、ケイは5点リードでの交代とあって、OB・高木豊氏から「まだリードあるじゃないですか。(1ヵ月以上勝っていない)ケイに勝たせたほうが得策だったようには感じますね」との声も出た。そして、過去に投手の交代劇をめぐる“事件”が何度となく起きている。【久保田龍雄/ライター】

「外国人の監督は、個人の記録なんてどうでもいいんじゃない」

 5年連続二桁勝利がかかった試合の5回2死で交代を命じられ、舌禍事件を起こしたのが、日本ハム時代の金村曉である。

 2006年9月24日のロッテ戦、この日まで9勝6敗の金村は、シーズン最後の先発で10勝目を狙ったが、3回を除いて毎回走者を許し、4回までに被安打6と不安定な投球が続く。

 さらに4対1の5回にも2死二塁から里崎智也に四球、ベニーに安打を許して満塁になると、ヒルマン監督は押本健彦への交代を告げた。だが、この交代は裏目に出る。押本は今江敏晃に満塁の走者一掃の同点二塁打を打たれ、日本ハムは4対8と逆転負けした。

 収まらないのは、勝利投手目前で代えられた金村だった。試合後、「外国人の監督は、個人の記録なんてどうでもいいんじゃない。絶対に許さない」と怒りをぶちまけた。

 一方、ヒルマン監督は「何とか金村に勝ち星を付けさせたかったが、(2死二塁から)歩かせてヒットを打たれたので仕方がない」と説明し、采配批判についても、「チームのムードを壊す行為は許されない」と遺憾の意を表した。

 その後、「感情を抑えられなかった。言い過ぎてしまった」と反省した金村は、自身のブログで謝罪コメントを発表したが、球団側は罰金200万円と全体練習への参加禁止、プレーオフ終了までの出場停止処分を科した。だが、結果的に一連の騒動は、金村にもチームにも「災い転じて福」をもたらすことになる。

 処分解禁後、金村は10月25日の中日との日本シリーズ第4戦で先発。4回までゼロに抑えたが、1対0の5回2死三塁のピンチで、ヒルマン監督がマウンドに足を運ぶ。「また交代か?」とスタンドがざわつくなか、ヒルマン監督は金村の肩を叩いて激励すると、すぐにベンチへ戻る。指揮官の“粋な演出”で一気に盛り上がったスタンドの大歓声を背に、金村は福留孝介を空振り三振に打ち取り、5回無失点で勝利投手に。

 3勝1敗と王手をかけた日本ハムは、第5戦も4対1で勝利し、東映時代以来、44年ぶり2度目の日本一に輝いた。

「あと1人」が遠かった阪神・藤浪晋太郎

 勝利投手まで「あと1人」から四球をきっかけに自滅してしまったのが、阪神時代の藤浪晋太郎である。

 2020年8月29日の広島戦、4回1死満塁のピンチを連続三振で切り抜けるなど、4回を3安打1失点に抑えた。前回登板(8月21日)のヤクルト戦で2018年9月29日の中日戦以来692日ぶりの白星を手にした藤浪だけに、この日も勝って連勝すれば、虎のエース復活へ大きな弾みがつくと思われた。

 ところが、5対1とリードの5回、先頭の大盛穂にフルカウントから四球を許すと、安打と投ゴロの間に1点を失ったあと、堂林翔太にストレートの四球とリズムを崩してしまう。鈴木誠也を二飛に打ち取り、2死まで漕ぎつけたものの、松山竜平、ピレラに連続タイムリーを浴び、会沢に死球で満塁となったところで、矢野耀大監督の我慢も限界に達し、岩貞祐太への交代を告げた。

 岩貞が次打者・田中を遊ゴロに打ち取り、1点リードを守り切った結果、藤浪はあと1人で勝利投手を逃す羽目になった。

「序盤に大量点を取ってもらった中で、本来はもっと長いイニングを投げなければいけない展開でした」と反省しきりの藤浪は、同年は1勝6敗に終わり、その後も結果を出せないまま、2022年限りで阪神を退団。もし、前出の広島戦で5回を投げ切っていれば、未来もある程度変わっていたかもしれない。たかが「あと1人」、されど「あと一人」である。

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