妻を試したくて…不倫&認知を自白 「甘えたかった」46歳夫の愚行に、彼女が見せた反応は

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昨年秋の「過ち」

 昨年秋、琢哉さんは「過ちをおかした」と言う。長年いた人事の仕事から、突然、異動になったのがきっかけだった。異動先は慣れないデジタル関係で、どうがんばっても「ここで力を発揮できるとは思えなかった」ため、気持ちは沈んでいくばかりだった。もちろん、妻にも言えなかった。異動したことだけ伝えると、妻はときどき「新しい部署はどう?」と聞いてきた。「うん、うまくいってる」と言うしかなかった。

「同じ部署の真依子さんと、酔ったあげくに関係を持ってしまったみたいなんです。たまたま同期の仲のいいやつと飲みに行った先に彼女がひとりで来ていて。彼は家から電話があってすぐに帰らないといけなくなった。それで僕が彼女と飲み続けて……。彼女を送っていって、誘われるままに部屋に上がり込んでしまったんですよ」

 あんな酔い方をしたことはなかったと琢哉さんは言う。その後、真依子さんから妊娠したと告げられた。実は彼には関係を持った記憶はない。あれだけ酔っていたらできないと思うと彼は首を傾げる。

「彼女が妊娠したと言ったとき、『正直に言ってほしいんだ。オレ、本当にあなたとした?』と尋ねたんです。すると彼女は『した』と言い張ったんですが、なんだか様子がおかしかった。本当に関係があるのにそんなふうに聞かれたら、もっと怒るんじゃないかなあ。でも彼女は怯えているように見えた。その姿がなんだか不憫で、オレでよかったら認知するよと言ってしまったんです。どうしてあんなことを言ったのかわからないけど」

妻にすべてを打ち明けると

 今年の春、真依子さんは出産した。日にちが合わなかった。彼と関係をもったと彼女が主張したときには、すでに妊娠がわかっていたに違いない。琢哉さんは本当に認知した。

「僕の子でないのはわかっていたけど、それでもいいか、と。そしてそのことを暁代に話したんですよ。こういうことで、と。もちろん彼女と関係をもったかもしれない状況については話さなかった。ただ、人道的支援である、ということだけ。暁代は僕をじっと見て、『バカじゃないの』と笑ったんですよ。なぜ笑えるのか。僕が嘘をついていて、本当に浮気していた可能性だってあるのに……」

 いや、本当に信頼していた可能性だってある。だからこそ、暁代さんは人道的支援をした夫を責めなかったのではないだろうか。「その視点はなかった」と彼はつぶやいた。

 夫婦関係に一石を投じたようなできごとだったのに、結局、妻はその後も変わっていない。息子の学校がらみのことは、かなりの頻度で琢哉さんに任される。それでも妻がどれほど息子を愛してるかはよくわかる。息子と妻は、映画が好きという共通点があり、ふたりでときどき配信の映画を観ては盛り上がり、ときには議論を戦わせている。

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