妻を試したくて…不倫&認知を自白 「甘えたかった」46歳夫の愚行に、彼女が見せた反応は
【前後編の後編/前編を読む】「お互いを醜悪だと思っている」夫婦 46歳夫が後悔する信じ難い“なれそめ”
近森琢哉さん(46歳・仮名=以下同)は、妻の暁代さんと交際ゼロ日で結婚した。友人の結婚式に出席したとき、式場で働く暁代さんの立ち振る舞いに感動し、話しかけたことがきっかけだった。ユーモアもあり、自立した家族観をもつ彼女との生活は慌ただしく始まったが、やがて琢哉さんは「必要以上に踏み込んでこない」妻の性格に気づいた。
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【前編を読む】「お互いを醜悪だと思っている」夫婦 46歳夫が後悔する“交際ゼロ日婚”のなれそめ
結婚生活はうまくいっていたが、琢哉さんには少し物足りなさを感じることがあった。暁代さんは彼が何か言うと、「どうしてそう思うの?」とよく尋ねてきた。だが、たとえば帰宅が遅くなると連絡すると「わかった」という一言が返ってくるだけ。彼の考え方や意見は深く聞きたがるのに、外で何をしているのかは知ろうとしない。尊重したいという思いが強いのか、自分に興味がないのかと琢哉さんが悩んだこともあった。
「同じように彼女が遅くなると連絡があると、『残業? つきあい?』と僕は聞いてしまう。でもそれへの返答はない。仕事がらみに決まっているんだから、それ以上聞かないでほしい、いちいち説明するのがめんどうなのと彼女が言ったことがあるんです。なんかね、僕の存在は彼女の人生のごく一部なのかなと寂しくなりました。僕はもっと全人格的につきあいたいのに……。そう言うと『相手のすべてを知るのは無理だし、私の仕事を知ることがあなたにとって意味があるとは思えない』って。正論なんですけどね……」
あなたは寂しがり屋すぎると暁代さんに言われたことがある。だが人間なんてみんな寂しがり屋じゃないのかと彼は思った。暁代さんは孤独に強かった。2年ほどたって30代に入ってすぐ、彼女は異例の出世を遂げた。
妻に甘えさせてほしかった
「肩書きを聞いたときびっくりしましたよ。ここまで来るのは大変だったはずと聞いてみたら、私は出世なんてどうでもいい、ただ、やりたいことが少し通りやすくなったのはうれしいけどって平然としていました。僕にもまったく弱みを見せたり、愚痴を吐いたりしなかった。すごいなと思ったけど、そうなると僕もいつも虚勢を張ってなければいけない。家の中でもそうですから、疲れました」
暁代さんは強いので虚勢を張っているつもりはなく、ごく自然体なのだろう。だが、琢哉さんは彼女のようにはできなかった。信頼する妻に弱さを見せ、励まされたかった。甘えさせてほしかった。
「甘えれば彼女は受け入れてくれます。だけど僕だけ甘えていると、ますます自分の弱さが浮き彫りになる。彼女は甘え方がわからないと笑うんです。『愚痴を吐いたら楽になるとは思えない。その愚痴が増幅して自分に戻ってくるだけ。だったら愚痴なんて言わずにさっさと前に進みたい』って。真性のポジティブですよね」
彼が少しめげかけていた結婚4年目、暁代さんが妊娠していることがわかった。子どもについては、当初はふたりとも仕事を優先させ、3年たったらあとは自然に任せようと話し合っていた。ちょうど解禁したところで妊娠したのだ。
「僕はうれしかったですね。彼女も覚悟はできていると言っていました。珍しく彼女はすんなり産休も取得、まあ、1年のところ半年ほどで復帰しましたが、それからも息子のことは最優先でした。僕もめいっぱいがんばったけど、彼女はさらりといろんなことをこなしていっていましたね。やっぱりすごい人だなと思いました」
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