「お互いを醜悪だと思っている」夫婦 46歳夫が後悔する“交際ゼロ日婚”のなれそめ
子どもはどうする、家事はどうする
2LDKでそれぞれの部屋をもつ生活が始まった。初めてふたりがゆっくり話し合えたのは引っ越しから1週間ほどたった日だった。さて、これからどうやって暮らしていこうとふたりは見つめ合った。
「僕はあなたの自主自立の精神をとても尊敬している。あなたの暮らしやすいようにしたいと思っていると言いました。本当にそう思ったんですよ。彼女は『私は家族を信用していない』と真っ先に言いました。これ、鉄拳食らったような気持ちでしたよ。だって僕は彼女と家族になりたかったんだから。よほど僕が暗い顔をしていたんでしょうか。彼女は笑いながら、『ごめん。従来の家族観、という意味よ。でもあなたとなら、お互いを尊重した家族になれそうな気がする』って。ホッとしました」
そこから子どもはどうするか、家事はどうするかなど具体的な調整に入ったと彼は言いながら、少し笑った。まるで企画立ち上げ会議みたいですよね、と。ただ、彼らにとっては、新しいプロジェクトが始まったのと同様だったのだろう。
「苦痛にではない家事をお互いに出し合ったんです。僕は掃除系が大丈夫ですが、彼女は大嫌い。料理は好きだというので、一緒に食事ができそうな日は彼女に任せたいと言ったら、『冷凍庫に作り置きを入れておくから、ひとりで食べるときはそれを食べてほしい』と言うんですよ。聞いてみると、彼女はかなり食事にはこだわりがある。食材を吟味するのが大好きなんだそう。家庭用精米機とか油を使わずに揚げ物ができるノンフライヤーとか、料理用の家電をかなりもってる。『食べ物がその人を作るから』といつも言っていました。だから結婚式場の料理についても、けっこう進言しているんだそうです。調理師の免許ももっていると知り、ますますおもしろい人だなと思いました」
相手のことをよく知らずに結婚すると、結婚後に目新しいことばかり出てくるんですよと彼は顔を輝かせた。だが、暁代さんは必要以上に琢哉さんに踏み込んでこないところもあった。
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劇的な出会いからはじまった琢哉さんの結婚生活だが…【後編】では、その目論見が崩れていく過程を紹介している。
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