筋トレブームで大人気「プロテイン」の真実…「どれを選ぶか」「どう飲むか」を専門家が指南

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第1回【「腎臓に悪い?」「添加物だらけって本当?」専門家が解説する「プロテイン」の“基礎知識”と見過ごせない“注意点”】からの続き

 10年前には600億規模だったプロテイン市場は、今や2500億円を超える盛況ぶりである。第1回では、そんなプロテインの腎臓への影響や製造工程から見た安全性、そして摂取するときの注意点について、立教大学スポーツウエルネス学部特別専任教授の杉浦克己氏が解説してくれた。過去にはプロテインブランド「ザバス」でも知られる明治製菓でプロテイン研究に携わり、現在は子どもから高齢者まで幅広い層に栄養指導を行う杉浦氏が、第2回では、実際の摂取方法や商品の選び方などについて詳述する。

(全2回の第2回)

――プロテインの適切な摂取量は?

杉浦 そもそも「たんぱく質」という栄養素をどれくらい摂ればいいのかというと、一般の方の場合、基本的には「体重1キロあたり1g」が、1日の摂取量としての目安になると思います。体重70キロなら、70gくらいは毎日摂りましょうということですね。これが運動習慣のある方やフィットネス愛好家の方だと「1.5グラム」、アスリートやボディビルダーの方だと「2グラム」という目安になってきます。

 現代社会において、この量を食事だけで賄うというのはそう簡単ではないという方も多いでしょう。そこでプロテインという食品が役に立つわけです。食品よりも体内への吸収効率がよいですし、何より食事からは正確なたんぱく質量が計りづらいので、たんぱく質摂取量を管理しやすいというメリットもあります。

食事での不足分をプロテインで補う

 ここでよくあがるのが、「プロテインさえ飲んでいれば肉や魚は食べなくてもいいのか」という疑問です。これは、たしかに「たんぱく質」という栄養素だけで見ればその通りかもしれませんが、私はあくまでも「プロテインは補助」としてとらえるべきだと考えています。

 人間は様々な栄養を摂るべき生き物です。自然界に存在する食品は、多くの栄養から成り立っているものである一方で、加工食品であるプロテインは、純度が高い分、自然食品のような“余計なもの”が入っていない。こういう純度の高いものに頼っていると、栄養の“見えない不足”が積み重なるリスクがあると思うのです。また、咀嚼や消化吸収の面でも、ある程度体に負荷をかけることだって大事なことでしょう。結局、人間は偏りなく色々なものを食べた方がいいという話であり、その不足分をプロテインで補うという考え方が、私は最適なのではないかと考えています。

 その意味では、発育途上にある子どもにプロテインを常飲させるのは、避けておく方が無難であるとも思います。牛乳などをベースにしつつ、足りていないときにピンポイントで摂取するのがよいのではないでしょうか。

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