“90年代のヴィジュアル系人気で売れた面も…” DIR EN GREYのDieがフェルナンデス倒産に感じた「ロック衰退」の寂しさ

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「誰か嘘だと言ってくれ――」ネットやSNSに嘆きの声が相次いだのは、エレキギターブランド「FERNANDES(フェルナンデス)」で知られる老舗楽器メーカー株式会社フェルナンデス(埼玉県戸田市)が経営破綻したとのニュースだった。

名だたるギタリストたちも愛用

 民間調査会社の東京商工リサーチによると、フェルナンデス社は7月11日付で事業を停止して破産手続きを開始。負債総額は約7億円(債権者80名)とされる。

 1969年に設立された同社は、1980~1990年代にプロ・アマ問わずロックミュージシャンの間で絶大な支持を集めた。愛用者には布袋寅泰をはじめ、X-Japanのhide、BUCK-TICKの今井寿といった名だたるギタリストの名が連なるが、フェルナンデスはそんな一流ミュージシャンらとライセンス契約を結び、押しも押されもせぬトップブランドとして君臨した。

「初めて買ったエレキはフェルナンデス」

 その勢いは凄まじく、自社でギター職人の養成学校を設立したり、米国で現地法人を立ち上げたことも。機能性の高さはもちろん、斬新なデザインの評判もほどなく海を渡り、海外の著名アーティストたちにも愛用されるようになった。

 過激なメイクと衣装で演奏するヴィジュアル系バンドの隆盛と相まって、99年度には売上高が40億円に達した同社のギターは、尖った外見ながら安価で高性能な“メイド・イン・ジャパン”として、当時のギターキッズたちの心を鷲づかみにした。「初めて買ったエレキはフェルナンデス」という向きは決して少なくない。

高校生でも手が届く価格

「ネットのニュースで知ってびっくり。経営の不振という話は、噂レベルで聞いたことがありましたが……」

 そう語るのは、99年にメジャーデビューを果たしたヴィジュアル系バンドDIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)でギタリストを務めるDie(ダイ)さん(49)だ。

 バンドブームが最盛期を迎えていた高校時代にDieさんが小遣いを貯めて初めて購入したのも、他ならぬフェルナンデスのエレキギターだった。

「8万5,000円程度と、高校生だった当時でも手が届く価格。もう、ずっと弾いていました。毎年のように出てくるカタログには、ものすごい数のアーティストたちが載っていました。BUCK-TICKをはじめとする、憧れのバンドのギタリストは皆使っていましたから、ギブソンやフェンダーといった高価な海外ブランドにも、僕の気持ちは向かなかった」

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