「今年65歳だし」「いいんじゃない？」LINEで決まった「杉山清貴＆オメガトライブ」2024年ツアー 先に広がる無限の可能性とは
第1回【80年代の「オメガトライブ」は「そろそろ潮時」で解散…杉山清貴が移住先で受けた「スタジオにショットガン」の衝撃】の続き
3月から5月にかけて「杉山清貴＆オメガトライブ ファイナルツアー」を敢行した杉山清貴（65）。新旧のファンで埋め尽くされた会場で、杉山は改めてこのメンバーで演奏することの心地よさを実感していたという。80年代のデビュー前から米国移住を語ったロングインタビュー第1回に続き、今回の第2回ではバンドの今後や自分たちのサウンドを奏で続けていく決意について語った。
（全2回の第2回）
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【写真】派手系サングラス＆ジャケットもピタリとハマる…唯一無二のオーラを放つ杉山清貴
ハワイで「音楽の捉え方が楽になった」
1992年のロサンゼルス暴動に世の中の変化を感じ取ったという杉山は、同じ頃に音楽の流れも変わってきたと指摘する。ラップが台頭し、「もう1980年代のような音楽は受け入れられなくなるという実感があった」のだ。そこで杉山の目が向いたのはハワイだった。
「もともと1970年代後半に流行って来日もしたロックバンド『カラパナ』が好きだったし、90年代になる頃にはジャワイアン、ハワイアンレゲエが流行っていて。音楽的にも面白いと感じていたんです」
実際にハワイに行くと、アコースティックながら独創的なアーティストがデビューするなど、現地に「すぐに馴染んだ」と振り返る。
「生活が音楽なんだ。生活に音楽があるとはこういうことなんだ」――。ハワイで強く感じたのはそんなことだった。ごくごく一部の超有名どころを除いては、著名なミュージシャンでも音楽だけでは食べていけず、他に仕事を持っていた。「ええ？ あの人が空港で荷物整理をしている！」と驚いたほどのミュージシャンもいたという。音楽との付き合い方がそれまでの日本での常識とは異なっていた。
「人が集まれば、誰かしらがギターを弾いて歌い出したりする。そういうのはいいなあと思って、日本に帰ってもみんなで集まると僕もギターを弾いたりなんかして。音楽との付き合い方が変わったというか、音楽が特別なものじゃなくなりましたね」
結果的に「音楽の捉え方が楽になった」といい、その姿勢はそれからの杉山の音楽にも表れているようだ。
杉山清貴＆オメガトライブの復活
2004年、杉山の呼びかけで、約20年ぶりに杉山清貴＆オメガトライブが復活する。コンサートのタイトルは、ラストアルバムのタイトルから「First Finale2～オメガトライブ～」。以後、折に触れてバンドを復活し、ライブで多くの聴衆を楽しませてきた。
「自分が引っ張っていくソロ、ヘラヘラしていればいいバンド」と違いを挙げる杉山。そうした中で、2023年がバンドデビューから40周年の節目となった。
「今年65歳だしさ」「やるけど、どう？」「いいんじゃない？ 日程が合えば」――。グループLINE上で繰り広げられたメンバー間のこんなやり取りで、今年3月から5月にかけての「～FIRST FINALE TOUR 2024～“LIVE EMOTION”」は決まった。
「65歳といえば、普通ならもうおまけの人生だし、楽しむしかない。あいつらと音を出してるのが楽しくて」と、気分はバンドが好きで始めた頃にすっかり戻っている。それでも「こういう大きなうねりが来るとは想像してなかった」というほど、ツアーで訪れた会場のファンの反応は熱く、ふたを開ければソールドアウトの連続だった。
2019年にツアーを行った際には、「まだ気持ち的に仕事っぽい感じがあった」という。
「あのときは、まだオメガトライブを“やってた”。それが今回は（前身の）きゅうてぃぱんちょすがオメガトライブをやっている感じになってきました」
微妙な言い回しだが、今は初心に返ってバンドを楽しんでいることが表情からも見て取れる。
可能性はいくらでも広がっている
「令和のオメガトライブ」とも呼ばれ、2023年に林哲司プロデュースでメジャーデビューを果たした「GOOD BYE APRIL」のメンバーともインスタなどを通じて交流があり、「僕らが世に出してきたサウンドを引き継いでくれている。いいですよね」と目を細める。その半面、まだまだ自らのやる気は高まる一方だ。
杉山清貴＆オメガトライブが藤田浩一のプロジェクトであったからこそ、藤田亡き今、当時の楽曲以外は演奏しないと決めた。それ以外の曲を演奏するときは「きゅうてぃぱんちょす」名義を使うなど、きっちりと線引きしている。今後は曲を作る可能性もあるというが、それを発表するのも「きゅうてぃぱんちょす」名義になりそうだ。
「このメンバーが集まれば、きゅうてぃぱんちょすもできるし、オメガトライブもできるし、僕のソロだってできる。その意味では自由度も広がったし、可能性としてはいくらでも広がっている」
オメガトライブとしては、アルバム5枚分に収められた楽曲で「手を変え品を変えて、いろいろと楽しいことができるはず」と考えている。40年を経て「シティポップが“シティロック”になってきたのかな、ある意味自分のものになってきたのかな、という気はする」と、今後も自分たちのサウンドを奏で続けていくことを強く誓った。
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きゅうてぃぱんちょすとオメガトライブ。杉山の活動は今後も自由で、熱を帯びていることだろう。第1回【80年代の「オメガトライブ」は「そろそろ潮時」で解散…杉山清貴が移住先で受けた「スタジオにショットガン」の衝撃】では、80年代の杉山清貴＆オメガトライブや米国移住などについて語っている。
