伝統的な製法を完コピして、“本物”と同様にICタグまで内蔵…「偽ブランド品」のハイレベル化で質屋の廃業が続出「息子に継がせようとは思いません」
質屋の未来は明るいのか
ここ数年の間で偽物のレベルが上がりすぎて、勉強しても勉強しても追いつかないほどだとA氏は苦労を語る。さらに、リサイクルショップやフリマサイトの台頭によって、モノを売買するハードルが下がったことも質屋にとって逆風になっている。3年以上続いたコロナ騒動の中で、フリマサイトのユーザーが大きく増えた。こうした影響を受け、廃業する店も相次いでいるそうだ。
現在、質屋は銀行や消費者金融でお金を借りることができない人の“最後のセーフティーネット”になっているという。「消費者金融などでブラックリストに載っている人でも、質草さえあればお金を借りることができる。そういうお客さんが増えましたね」と、A氏。
質屋の歴史は鎌倉時代まで遡るといわれる。A氏の話を聞くと、現在の質屋業界は、質屋というビジネスが始まって以来の岐路に立たされていることがわかる。A氏の質店は代々続く店だが、息子に跡を継がせる予定はまったくないと言う。
「質屋はもう、僕の代で終わりですかね。本当に大変なことばかりで、息子に継がせようとは思いませんよ。業界は先細りになっていくと思います。ただ、地元に必要としてくれる人がいる限りは、続けていこうと思っています」