日本球界の危機?「“野球”が上手い選手が減った」と危惧する指導者 地上波でプロ野球の放送が減少したことも一因か

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 8月に行われた「夏の甲子園」でのことである。プロ注目選手の1人である、早稲田実のショート宇野真仁朗について、ある球団のスカウトから「“野球”が上手いのがいいですね」という言葉が聞かれた。プロのスカウトが注目するような選手が「野球が上手いのは当然」と思われるかもしれないが、“野球”と書いたように、その裏には様々な意味が含まれている。後日、そのスカウトと話をした時に、こう解説してくれた。【西尾典文/野球ライター】

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早実・宇野選手が“野球が上手い”と評される理由

「最近は、ピッチャーならば、スピードとかボールの回転数。野手ならば、打球速度といった数値を計測することが一般的で、高校生や大学生でも、このようなデータを活用するようになっています。そのこと自体はもちろん良いことだと思いますが、その影響が強くなり過ぎているように見えることがあります。いくら速いボールを投げられて、遠くに打球を飛ばすことができても、イコール良い選手というわけではないです。あくまで野球はチームスポーツですし、実戦で力を発揮できなければ意味がありませんから。宇野については、飛ばす力やスピードももちろんありますけど、守備や走塁の判断といった実戦でちゃんと能力を生かすことができていました。そういう選手はやはり、(プロ野球や社会人など)上のレベルでも対応しやすいですよね」

 早稲田実の初戦となった鳴門渦潮戦、宇野は第1打席でレフト前に弾き返すと、すかさず二塁ベースを陥れている。

「レフトの守備位置が深く、打球に対してのチャージも遅かったので、打った瞬間に二塁を狙いました」(宇野)

 また、7回の守備ではワンアウト一塁の場面でショートゴロを処理したが、一塁走者がスタートを切っていたのを見て、慌てることなく冷静にファーストへ送球してアウトとしている。こういった部分がスカウトの話す“野球”の上手さと言えそうだ。

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