「松山英樹」銅メダル報奨金「600万円」全額寄付で思い出す…シェフラーと「ガンに散った友人」の絆
少しでも若い選手たちの力に
パリ五輪の男子ゴルフ競技で銅メダルを獲得した松山英樹に、JGAオリンピックゴルフ競技対策本部から授けられたメダル報奨金600万円。このほど松山から、若手選手育成のためにその全額をJGAへ寄付したいという申し出があった。
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JGAはその申し出を受けて、「今年から始動しているルーキープログラムをはじめとする選手強化事業や若手選手の育成に活用させていただく」という。JGAが発信したリリースには、松山のコメントも付されていた。
「今年のオリンピックでは、国民の皆さんの応援のおかげもあり、メダルが獲れたことを自分でも嬉しく思っています。これからどんどん日本の若い選手たちが世界の場で活躍できるように願いつつ、そして自分も彼らの目標であり続けられるように努力していきたいと思います。少しでも若い選手たちの力になれるよう、今回いただいた報奨金はJGAに寄付させていただくことにしました。是非有効に使っていただければ嬉しいです」
寄付や社会貢献は一流の証し
欧米ゴルフ界では、トッププレーヤーが社会貢献のために賞金等々を寄付することが、もちろん「ありがたいこと」「素晴らしいこと」と賞賛される。そして同時に、一流選手は「かくあるべし」とも思われている。
人々のため、社会のために行動してこそ「一流の人」と見なされる欧米では、いわば寄付や社会貢献が一流の証しなのだ。
日本では古くから「言わないことが美徳」という考え方があるせいなのかもしれないが、寄付や社会貢献をする際も「匿名」というケースが今でもしばしば見受けられる。「みんなに知ってもらうために寄付するわけではない」と、寄付について「書かないでほしい」「記事にしないでほしい」と願い出る日本人選手に、私はこれまで何度も出会った。
だが、昨今では、災害被災地や被災者への義援金、コロナ禍での支援金などを含め、「寄付します」「寄付しました」と明かす選手が日本でもやや増えつつある。そして、1人増えたら、「私も!」という具合に、また1人、さらに1人と連鎖的に増えていく可能性も期待できる。
ましてや、日本のエースである松山が五輪のメダル報奨金を寄付したとなれば、その姿勢に学び、「僕も」「私も」と社会に役立つプロゴルファーを目指す選手がきっと増えるのではないだろうか。
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