「親切心からの告げ口」だからこそタチが悪い…「薪をくべにくる人」はなぜ相手を不快にさせるのか

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薪をくべにくる

 お笑いコンビ・スパイクの松浦志穂が、9月3日放送の『A LABBO』(テレビ朝日系)に出演し、SNS上に自身にとってネガティブなことを書き込む人に対し、苦言を呈した。発端は、松浦が知人のアイドルを自身のライブに招待し、その翌日に件のアイドルが「お笑い見て死ぬほど笑いたい!」とSNSに書いたという、他愛のないこと。

 この投稿を発見した知人の放送作家が松浦に報告してきたそうで、松浦は怒りを露わにし、放送作家の告げ口を「薪をくべにくる」と表現した。松浦はそのアイドルのコメントを、「昨日行ったライブではあまり笑えなかったから死ぬほど笑うライブが見たいものだ」と解釈したのだろう。一方でネットではそのアイドルがライブに満足したから「またあのように笑いたい」と好意的に書いたのでは、との指摘も多数書き込まれた。

 アイドルの真意、そして松浦が本気で怒っているのかどうかはさておき、「薪をくべにくる」行為というのはいただけない。「知らぬが仏」という言葉があるが、これはまさに真理である。人は、いちいち自分への悪口を知りたくないのだ。

 悪口というものは、有名無名に関わらず、誰もがされているもの。無論、有名人であればその数は膨大だし、一般人でも会社のエラい人や、町内会の世話役的な人など立場がある人であれば、悪口の数は増えていくのだ。

その情報、いらないんで

 一般人でも、名前がある程度通っている人間であれば、今の時代、ネット上にも悪口は書き込まれる。さらに飲食店の場合は、クチコミサイトやSNSで「なんでこの店が人気があるのか分からない」やら「コスパが悪い」「店員の態度が最悪」などと書かれる。これを気にする人がサイトの運営会社に削除依頼をするのだが、それも焼け石に水。正直悪口というものは止められないのである。

 そう考えると自衛策は【1】評判をいちいち見ない【2】エゴサーチをしない【3】コメント書き込み不可とする、の3つに絞られてくる。が、自分の力ではどうにもならないのが自称・親切な人々が「薪をくべに来る」ことだ。

 くべにくる当人からすれば「あなたの悪口を言っている人がいました。注意してください。この人物は今後信用してはいけません」や「あなたの悪口を書いている人がいるので削除依頼を出した方がいいです」などと親切心から言っているのだろう。

 だが、密告を受ける側からすれば「その情報、いらないんで。今後一切やめてもらえませんか?」となるのだ。自分の評判が気になって仕方がない人であれば別だが、基本的に悪口なんて聞きたくない。その悪口がよほどひどく、社会的地位の凋落や、所属している会社からの解雇に繋がるようなものでない限り、放っておけばいいのである。

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