「訂正が8カ所とは驚いた」 悠仁さまのトンボ論文のミスが発覚… 「筆頭著者だけでなく、共著者も含めた全員の責任」

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査読によるチェックには限界が

 生物の研究では、雌雄の別はきわめて重要なはずだが、国内のトンボ研究者約400人からなる「日本トンボ学会」のさる関係者によれば、

「論文発表後に正誤表が付けられること自体は、決してないことではありません。筆者は執筆の段階でミスを極力なくすよう、念には念を入れて論文を出すわけですが、固有名詞の取り違えやスペルミスは大なり小なり起こり得ます。その時、いつまでも間違ったまま残ってしまうことは学術的にも問題があるため、正誤表が必要となるのです」

 科博「研究報告」は、掲載に至るまでに専門家による「査読」を経るのだが、

「これによるチェックも限界があります。例えば日付や観察場所のデータなど、当人でなければ知り得ないことが多い。正誤表は基本的に論文著者が誤りに気付いて作成し、掲載誌の編集者に提出します。また専門家や掲載誌の編集者など第三者から『誤りがあります』といった指摘を受けて作成するケースもある。ミスはないに越したことはありませんが、一般的に昆虫の学名などは分類体系の変更に伴って変わっていくこともあるので……」(同)

「訂正が8カ所とは驚いた」

 学術論文においては、深刻な誤りが疑われる場合、掲載誌側から「懸念表明」が示されることがあり、最悪の場合は「撤回」へと追い込まれてしまう。一方で今回のような正誤表は、そもそも論文の根幹が揺らぐものではないというのだが、

「一つ一つは『うっかりミス』ではあるものの、訂正が8カ所とは驚きました」

 そう話すのは別の研究者。

「これは筆頭著者だけでなく、共著者も含めた全員の責任だといえます。また、査読がなされたのだとすればチェックが甘かったと言わざるを得ません」

 後編【悠仁さまのトンボ論文のミス、東大推薦入試の願書に間に合うタイミングで訂正が… 「レールをご両親が敷いてしまわれた」】では、論文の訂正がなされたタイミングについて、識者の見方を紹介している。

週刊新潮 2024年9月12日号掲載

特集「人知れず悠仁さまの『トンボ論文』が8カ所も訂正されていた」より

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