夫の怪死後「アヒル口に整形」「パパ活」「家賃踏み倒し」…“無罪主張”「紀州のドンファン」事件「須藤早貴被告」の闇
「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏を殺害した容疑で2021年に逮捕された妻・須藤早貴被告の裁判員裁判が12日、和歌山地裁でスタートした。被告はこの日、無罪を主張。公判は計23回開かれ、12月12日に判決が言い渡される見通しだ。
早貴被告に関しては、生い立ちや野崎氏との結婚の経緯、事件当日の行動、夫の死後の言動など、不可解に見える点が少なくない。初公判を迎えるに当たり、彼女の逮捕時の「週刊新潮」誌の報道を振り返り、幼な妻の抱えた闇を明らかにしてみよう。
(「週刊新潮」2021年5月6・13日の記事の再掲載です。文中の年齢、役職、年代表記等は当時のものです)
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和歌山県警の捜査員10人ほどが上京し、須藤早貴容疑者の行動確認に入ったのは、4月20日以降のことだと見られる。
事件発生当初から、55歳差をものともせずに結婚した須藤容疑者は犯人として目星をつけられていた。そもそも、セクシー女優歴もある元モデルの須藤容疑者が野崎氏と知り合ったのはモデル仲間からの紹介がきっかけ。野崎氏に気に入られ、月々100万円のお手当を条件に「パパ活」婚に踏み切ったのである。しかし、結婚生活はわずか4カ月足らずで幕を閉じることに。
あらためて、捜査関係者がドン・ファン怪死の状況を振り返る。
「2018年の5月24日、野崎さんはいつものように未明に起床すると、経営する酒類販売会社で仕事をこなし、正午前後には自宅に戻りました。その時間になって、ようやく起き出してきた須藤容疑者と一緒に、家政婦さんの作ったしゃぶしゃぶの食事を摂った。その後、日課の昼寝をするために、2階の寝室に向かいました」
夕方になると、須藤容疑者と一緒に寝室で相撲中継をテレビ観戦したという。
「相撲中継が終わった午後6時過ぎ、二人が1階のリビングへ降りると、家政婦さんが作り置いたうどんが用意されていました。夕食時、家政婦さんは夫婦水入らずとなるように気を利かせ、普段から外出するようにしていた。その時間帯を“ラブラブタイム”と呼び、当日も夕方4時から4時間ほどは不在だったのです」
その間、自宅は夫婦二人きり。野崎氏は「食欲がない」とうどんには手をつけず、代わりにビール中瓶を半分ほど空け、寝室に引き上げた。一方、須藤容疑者は帰宅した家政婦とともにバラエティ番組を見てから夜10時過ぎ、寝室に行ったところで変わり果てた野崎氏の姿を発見したとされる。
「司法解剖の結果、野崎さんの身体に注射痕はなく、多量の覚醒剤を経口摂取したために死に至ったことがわかりました。さらに、経口摂取した時間帯として割り出されたのは、野崎さんと須藤容疑者が自宅で二人きりのラブラブタイムでした」
和歌山県警は須藤容疑者所有の2台のスマホを押収し、「位置情報」の捜査を行った。GPS機能を解析すれば、測定誤差数メートルの範囲内でスマホの場所、さらには時間帯も絞り込める。その結果、野崎氏に一服盛れたのは、須藤容疑者以外にあり得ないことが判明したという。
いわば、「消去法」での犯人洗い出しだった。
同じく、和歌山県警が手掛けた1998年発生の「和歌山毒物カレー事件」でも犯人特定の決め手は消去法。住民らの証言に基づき、1分刻みでタイムテーブルを作成し、「林眞須美死刑囚以外に、カレー鍋にヒ素を混入する機会を持つ者はいない」との結論を導いたという。
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