過去には「夜回り取材禁止令」を提案…空気の読めない「小泉進次郎首相」なら「番記者シャットアウト」か
小泉進次郎氏とメディアの距離感
ただ、その取材のあり方も時の総理大臣によって変わることがある。
安倍晋三首相の時代は、安倍氏の在任期間があまりにも長かったため、政治部の上層部の人間が首相と個人的なつながりがあり、そこから断片的な情報がもたらされることがあった。
一方で、菅義偉首相や岸田文雄首相の場合は安倍氏に比べ任期が短く、彼らが首相になる前に仲を深めた現場の記者が、携帯電話で直接的に話を聞き出すという場面もしばしば見られた。
新聞などで「首相は周囲に語った」という「周囲」は、実は記事を書いている記者本人を指していることもあったりする。
このように、首相によってメディアとの距離感は大きく変わってくる。では小泉進次郎氏が首相になった場合はどうなるのか。
記者会見で時折見せたフレンドリーな様子とは裏腹に、小泉氏は大手マスコミ記者と日常的に親しくするような政治家ではない。
滝川クリステル氏と結婚し、その後に環境大臣になった際には、それぞれのメディアから番記者がつくも、小泉氏の政務日程については、SNSなどで発信されているような講演会の情報さえも事務所が教えてくれず、その足取りを追うのはだいぶ苦労したと言われている。
もちろん、昔から小泉氏を取材しているような記者の中には昵懇の人もいるだろうが、多くの記者は門前払い、シャットアウトされてきた。
また、筆頭副幹事長を務めていた2017年から18年にかけて小泉氏が周囲の記者に対し、「政府と記者クラブで協定を作るなどして、議員宿舎での記者の夜回りを禁止しよう」と提案したこともあったという。当時、小泉氏は「国会改革」の必要性を訴えており、それに関連した発言だったとみられる。
記者にとって議員宿舎は、政治家が仕事や会食を終えて帰ってきたところを「夜討ち」取材して本音を聞き出す貴重な場だ。
時には議員が酔っ払って帰ってくることもあり、普段は喋らないような情報をポロッと漏らしながら、記者と政治談議に花を咲かせることもある。
記者の致命傷となる提案
その取材が禁止されるのは、政治の裏側を取材する記者にとっては致命傷になるのだが、知ってか知らずかそんな提案をしてしまうくらい、小泉氏とメディアの間には距離があった。
小泉純一郎元首相の次男であり、28歳で衆院選に初当選して、早くから「将来の首相候補」と言われてきた進次郎氏。
その輝かしい経歴の一方で発言は「進次郎構文」としてネタ化されるなど、常にメディアの注目の的になってきた。
記者との距離をとりつつも、時にはメディアを利用したいと考えていることは、出馬会見でのメディアコントロールからも窺える。
父・純一郎氏は毎日ぶら下がりに応じることでマスコミ各社にネタを提供し、その中で「小泉劇場」を演出したが、進次郎氏も同じ道を歩んでいくことになるのか。
政治家・小泉進次郎の本性が姿を現すのは、自民党総裁選が終わった後かもしれない。