過去には「夜回り取材禁止令」を提案…空気の読めない「小泉進次郎首相」なら「番記者シャットアウト」か
青を基調とした会見での彼の様子は“颯爽”というほかない。自民党総裁選へ出馬を表明した小泉進次郎衆院議員(43)。今回の総裁選の本命と目されながらも、記者会見から浮き彫りになったのは用意周到すぎる“メディアとの距離感”だった。【宮原健太/政治ジャーナリスト】
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誰がどこにいるかを把握した上での記者会見
すでに「小泉劇場」は始まっているのかもしれない。
9月6日に都内で開かれた小泉進次郎氏の自民党総裁選に向けた出馬会見では、事前に申し込みをした記者に番号が割り振られ、会見での座席が決められていた。
誰がどこにいるかを把握した上で記者会見を進行する徹底した管理ぶり。
ほかの候補者の会見は議員会館の広い会議室で座席自由で行われていることを考えると、小泉会見の準備が格別に用意周到であることが分かる。
総裁選を取材する大手新聞社の記者は語る。
「今回の総裁選は前例がないほどに候補者が乱立している分、推薦人などに国会議員の過半数が吸収され、国会議員票は分散して各候補者で差がつかない可能性が高い。そうなると鍵になるのは党員票で、圧倒的な知名度を誇る小泉氏が優勢となると予想されているが、世論は政治家の発言1つで大きく移り変わる。小泉陣営がメディアへの発信にかなり気を遣っているのは事実だ」
記者会見は結局、大手マスコミばかりが指される状況に業を煮やした一部の記者らが声を上げたことによって均衡が崩れたが、一方でフリージャーナリストによる「小泉さんが首相になってG7に出席したら知的レベルの低さで恥をかくのでは」という挑発的な質問に対し、「私に足らない所があるのは事実」「このようなご指摘を受けたことを肝に銘じて、マシになったと思ってもらえるようにしたい」とさらりとかわすなど、記者会見自体はつつがなく終わっていった。
「首相周辺」や「官邸関係者」とは
個人的には、早期解散を宣言した小泉氏に対し、総理総裁になったとして何も成し遂げていない段階で衆議院を解散して国民に信を問うのは整合性が取れるのか、自民党が看板を架け替えてイメージだけで選挙を乗り切ろうとしているとの批判は免れないのではないか、見解を聞きたいと思ったが、会見時間の短さもあり残念ながら質問の機会は得られなかった。
さて、政治家とメディアの距離は常日頃から問われ続ける大きな問題だ。
政治家との距離が近すぎると「癒着だ」「偏向報道だ」との批判が飛んでくるが、一方で政治家の懐に飛び込まなければ永田町の内情を探ることができない。
記者は常に政治家との距離を考えながら、「癒着」ではなく「密着」となる取材を心がけることとなる。
ただ、取材対象が首相となると様相は少し異なる。
セキュリティの問題で記者が首相本人に近づいて話を聞くことは、基本的には許されていない。例外として、官邸で総理が出入りする際、記者が群がるように取材することがあるが、それができるのは官邸内のセキュリティが担保されているからだ。しかもあの短時間では無論「情報」を引き出すことはできない。
首相への直接取材は会見やぶら下がりなどの表の取材を除いて許されていないため、首相が一体何を考えているのか、その頭の中については首相の周辺で仕事をしている秘書官などの官僚、政治家から間接的に話を聞くことになる。新聞で出てくる「首相周辺」や「官邸関係者」などはこうした存在だ。
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