「金融所得課税」「解雇規制」をめぐって小泉、石破、河野が激論…自民総裁選を左右する“経済政策” 専門家が分析「日本経済を任せられるのは誰か」

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 いよいよ自民党総裁選の火ぶたが切って落とされる。人気、イメージ、実績……、総裁が選ばれる要素は複数あるだろうが、最も注目すべきは「政策」である。特に、経済政策は、今後の我々の生活を左右しかねない。重要なのは、過去から現在にかけて経済をどう語ってきたか、だとエコノミストは指摘する。それぞれの経済政策を検証すると……。

経済政策で差別化を図る

 かつてない乱立模様となっている今回の自民党総裁選。続々と出馬表明がなされ、候補者が訴える経済政策も明らかになってきた。

「近年、官邸機能が強化され、総理が誰になるかで、経済政策も大きく変わる傾向が強くなってきています」

 と語るのは、SMBC日興証券日本担当シニアエコノミストの宮前耕也氏。

「内閣人事局ができたことで、政策の実務を担う霞が関の官僚も官邸の動きを注視しています。小選挙区制により、自民党議員に対しては公認権を持つ党本部の力も強まり、派閥も解散したことで、自民党総裁、つまり総理大臣の権限が拡大しているのがいまの永田町の権力構造といえます」(宮前氏、以下同)

 政治の世界において「経済政策」で他の政治家や政党と差別化を図ろうという機運が盛り上がったのが2017年だったと指摘する。

「アベノミクスで財政政策と金融政策がクローズアップされてきた中で、この年、小池百合子都知事が民進党を巻き込み『希望の党』を結党し、一時は自民党を脅かすほどの勢いがありました。それまでの選挙では自民党の『保守』とかつての民主党を代表格とする『リベラル』が対立する構図で選挙戦が行われてきましたが、希望の党は外交・安保政策で『現実路線』を標榜し、経済政策で自民党との差をつけようとしました。以来、自民党内、野党を含めて経済政策を訴える重要性が増しています」

過去から現在への政策の変遷を見る

 今回の総裁選でも各候補が様々な経済政策を掲げている。それらをどう見ればいいのか。

「小さな政府か、大きな政府かという縦軸と金融政策という横軸で見るのがよいと思います」

 と宮前氏。

「規制緩和路線でかつ財政面において歳出を抑制していくのであれば『小さな政府』を志向していることになり、逆に規制を強化し、分配や歳出を拡大していく路線ならば『大きな政府』を志向していることになります。これが縦軸です。また、金融政策については低金利の金融緩和を継続していくのか、それとも、金利を引き上げ金融政策を正常化していくのか、これが横軸となります。例えば、アベノミクスを推進した安倍晋三元総理は、『大きな政府』と『金融緩和』を志向した政策を進めたことになります」

 また、過去から現在にかけてどう政策が変遷したかを見ることも重要だという。

「岸田文雄総理が2021年に総裁選に出馬した際、基本的にアベノミクスの3本の柱、『大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略』を維持する、としていました。ただ一方で、その1年前、2020年の総裁選ではマイナス金利政策の弊害を指摘し、金利を引き上げていくことを示唆していた。その結果、日銀総裁に植田和男氏が選ばれ、現在は利上げ局面にあります。つまり、岸田総理はもともと金融政策正常化路線で、それがいま現実のものになっていると見ることができるのです。ですから、この総裁選でも過去にその候補がどのような経済政策を語っていたか、は注視すべきです」

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