「テクノロジーが存在しても、それが有用に使われるかは別問題」 少子高齢化が止まらない日本を救う「発明」は生まれるか(古市憲寿)

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 18世紀後半、イギリスの化学者によって亜酸化窒素が発見された。笑気ガスとも呼ばれ、長い間、麻酔薬として活用されている物質だ。

 だが亜酸化窒素が発見されてからしばらくは医療用には使われなかった。吸入すると精神的な高揚感や笑いを引き起こす効果が注目され、「笑気ガスパーティー」や「笑気ガスショー」が流行したのだ。そうやって娯楽として用いられた亜酸化窒素が、医療用麻酔として幅広く使用されるのは19世紀半ばだった。

 もしもっと早く笑気ガスを医療に使う可能性に気付いていれば、手術の苦痛を緩和できた人が増えたかもしれない。...

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