ロシア「GDP」は連続プラス成長、中国との「人民元決済」急上昇でドルの危機も…ウクライナ戦争、西側諸国の“大誤算”
ウ軍の越境攻撃に冷ややかな西側諸国
ウクライナ最高会議(議会)は9月5日、副首相や外相など新閣僚ら計9人の人事を承認した。ロシアによる侵攻後、最大規模の内閣改造だ。
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ゼレンスキー大統領が「政府機関はあらゆるレベルでさらに活発にならなければならない」と述べたように、今回の改造は重要閣僚の入れ替えをテコにして、政権の求心力を回復する狙いがあることは間違いない。
ウクライナ軍は8月6日、ロシア西部のクルスク州に越境攻撃を始めた。その1カ月後には1200平方キロメートル以上の地域を掌握、捕虜にしたロシア兵は500人以上としている。第2次世界大戦後にロシアの国土が外国に占領されたのは、この越境攻撃が初だ。
だが、西側諸国の反応は冷ややかだ。ウクライナ軍が精鋭部隊を越境攻撃に投入したことで、苦戦を強いられているウクライナ東部・南部で戦線崩壊のリスクが生じているからだ。
昨年6月に開始した反転攻勢に失敗し、劣勢に立たされるウクライナ軍が危険な賭けに出た感もある。ロシアとの直接対決を回避したい西側諸国は頭を悩ませていることだろう。
「ロシアは孤立を深めている」は本当か
西側諸国の誤算はこれにとどまらない。
ウクライナ戦争勃発直後、西側諸国はロシアの対外資産の全面凍結やエネルギー輸出の封殺など、前例のない厳しい制裁を科した。だが、ロシアの国内総生産(GDP)の成長率は西側諸国よりも高い伸びを示している。いわゆる「制裁の逆説」が生じているのだ。
ロシアの第2四半期のGDP(速報値)は前年比4%増と、5四半期連続のプラス成長となった。ロシアのシルアノフ財務相は8月30日、今年度は3.9%と述べ、従来の政府予想(2.8%)を上方修正した。戦時体制の下、遊休化していた工業施設が空前の活況を呈していることが主な要因だ。
一方、戦闘が長期化するにつれて人手不足が深刻になりつつある。インフレ率も6月は8.6%と、1年4カ月ぶりの高水準だった。それでも当分の間、ロシアの継戦能力に支障が生ずる可能性は低いだろう。
西側メディアは「ロシアは孤立を深めている」と喧伝しているが、その実態はまったく逆のように思えてならない。その最たる例がBRICSの拡大だ。
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