日経女性記者の事件に「オレのことかと」 アラフォー秘書と不倫し警察沙汰…49歳夫が語る“沼のはじまり”
奈美絵さんは「ダメ男」と付き合っていた
さりげなく食事に誘った。口説いたりはしなかった。当時、彼女は「ダメ男」とつきあっていたが、彼の悪口も言わなかった。自分が彼女に会いたいだけだった。彼女を救いたいとか助けになりたいとか、そんなことはまったく考えなかったという。
「どうしていつも食事に誘ってくれるのと聞かれましたが、『僕がきみと一緒にいたいから』と答えていました。本当にそうだったんですよ。家庭のある身で、彼女とどうにかなろうなんて思わなかった。楽しい時間をありがとう。いつもそう言って彼女を送っていきました」
彼女はひとり暮らしだと言っていたが、たまに彼女の部屋に灯りがついていることがあった。ダメ男は合鍵をもっているのだろう。彼はそう察した。
「月に数回、彼女と食事に行くようになってから8ヶ月くらいたったころでしょうか。タクシーで彼女を送っていったら、部屋に灯りがついていたんです。彼女はいったんタクシーを降りましたが、また乗り込んできて『どこかに連れて行って』と小声で言いました」
いちばん近くの繁華街へタクシーで乗りつけ、ホテルへ入った。心の弱っている女性に迫るのは嫌だったから、ふたりでビールを飲んで話をした。だが話しているうちに奈美絵さんは、ダメ男への感情を高ぶらせ、「あんな男と関わりたくない」と体を震わせた。
別れればいい。あいつはしつこく追ってくる。いざとなったら警察に言おう。そうやって話し合っているうちにふたりは自然と抱き合った。抱き合わなければ気持ちがおさまらなかった。
「僕はきみを本気で好きだけど、家庭を捨てるわけにはいかないと伝えました。彼女は『私は結婚したいわけじゃない。充実した日々を送りたいだけ。あなたが好き』と言ってくれた。彼女は大人だし、分別がある。そう信じました」
同じ沿線に引っ越し
その後、奈美絵さんはダメ男に別れ話を切り出した。彼女の知り合いの弁護士も立ち会った。隆造さんも立ち会いたかったが弁護士に止められた。弁護士はふたりの関係を見抜いていたようだ。弁護士の助言もあって、奈美絵さんはダメ男から逃れるために引っ越した。落ち着いた先は隆造さんの自宅と同じ沿線で、深夜、タクシーに乗っても2000円足らずの場所。彼女の気持ちがこめられた引っ越しだった。
「ダメ男とは10年近く一緒にいたそうです。ダメでもいないと寂しかったのか、ひとりでいられないのかと尋ねると、『これからは大丈夫』と僕を見てニッコリ笑いました。甘えるのが上手で、でも仕事の話になると急に顔が引き締まる。彼女の尽力のおかげなんでしょう、平取だった彼女の上司、常務取締役になったんです。話を聞いていると、彼女は単なる秘書というより上司の仕事に精通、かなり進言もしている。上司も彼女を頼りにしているようでした。アシスタントでありながら、上司の仕事内容をだれよりも把握して研究している。そんな女性だから、他社からのヘッドハンティングもけっこうあったようです」
それでも奈美絵さんは、「私が新卒で入社して事務職をしていたころ、秘書になってほしいと抜擢してくれたのが今の上司。私は彼を裏切れない」と言っていた。一時期、隆造さんは奈美絵さんと上司との関係を疑ったこともある。だが、「上司と男女の関係だったら、こんなに長く秘書はできなかった」と奈美絵さんは軽く言った。
「そうか、男女の関係以上のつながりなんだと感じました。それが羨ましいような、でも彼女とは男女の関係になってよかったという思いもあって、複雑な気持ちでしたね」
奈美絵さんとの時間、奈美絵さんへの気持ちを、彼は日常生活の中に取り入れていった。仕事や家庭が重要なのと同じように、奈美絵さんと過ごす時間、彼女との関係も大事にしていきたいと決意を固めた。
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