結局、今の日本はバブルなの? 「3つの要素」に注目すると…乱高下つづく日経平均

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バブルの3要素

 日本の「バブル崩壊」は1991年の出来事だが、そのバブルのピークは、1989年12月29日の取引期間中に日経平均は3万8957円を記録。終値も3万8915万円と、当時の史上最高値を記録した。東京の商業地の地価も暴騰し、「地価日本一」として知られる銀座・鳩居堂の建つ土地は1坪1億5000万円となった。なにより、皇居の地価だけでアメリカのカリフォルニア州が買えたというから、まさにバブルである。

「バブルの生まれる背景には、いつも経済への過度な期待感があります。当時は“株価も地価もまだまだこれから上がる”という、日本全体を包み込む“過信”の空気がありました。山手線の内側の土地だけでアメリカ全土が買えてしまうぐらい地価が暴騰してもなお、まだ上がると本気で信じる人がたくさんいたわけです」(藤本氏)

 この「経済への過信」を生み出す要素は、大きく3つに分解できるそうだ。

「1つ目は資産価値の上昇、2つ目が信用マネーの膨張、3つ目が経済活動の過熱です」(同)

 そう聞いて、鋭い人はこう思ったかも知れない。「もしかして今の日本もバブルなのではないか」と。

 足もとを見ると、日経平均は“バブル超え”の4万円台を達成。首都圏ではマンション価格が急速に上昇し、パワーカップルと呼ばれる夫婦がペアローンで億超えのマンションをフルローンで購入、なんていう話も珍しくない。

今の日本は「バブル」なのか?

 現在の経済状況を、先述の「バブルの3要素」に当てはめて考えてみる。

1. 「資産価値の上昇」 →当てはまる
 株価がバブルを超え、不動産価格が上昇している。

2.「信用マネーの膨張」 →当てはまる
 8月の株価大暴落でいくぶん解消されたものの、株式の信用取引のポジション量は依然高水準。

3.「経済活動の過熱」 →?
 悲観的というわけでもないだろうが、「株価も地価もまだまだ上がる」という高揚感があるわけでもない。藤本氏の見解は――?

「中小企業を対象に帝国データバンクが毎月実施している『景気動向調査』では、国内景気が好転してきている、と回答する企業の数はじわじわと増えてきています。ただ、日本経済全体が強気ムードかと言えば、YESと答える企業はまだ多くありません」(藤本氏)

 3要件のうち、2つが当てはまりそうだが、まだ「バブル」と呼ぶには気が早いということか。一方、8月5日の株価大暴落に際し、「バブル崩壊」という言葉を思い浮かべた人もいたのではないだろうか。

「印象的だったのは、“落ち着こう”、“狼狽してはいけない”という冷静な声が多かったことです。SNSの発達など情報収集の精度が上がった影響もあるでしょうが、資産価値の暴騰にも暴落にも、今の日本は比較的冷静に対処できているようにも見えます」(同)

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