涙を流す「目黒蓮」はフジ月9の新機軸 「海のはじまり」が映し出す現代社会の“リアル”

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従来にはない新鮮さ

 Snow Manの目黒蓮が主演するフジテレビ系連続ドラマ「海のはじまり」(月曜午後9時)が、従来の男性主人公のイメージを変えつつある。何かとはっきりしない主人公の月岡夏(目黒)について、視聴者からは「じれったい」「煮え切らない」などの声が上がっている。一方で、こうした男性像の描き方は、従来の連ドラとは一線を画すものとして、同局の路線を評価する指摘があるのだ。(※以下、ネタバレがあります)

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 夏の連ドラをウォッチングしている放送ライターがこう話す。

「2日放送の第9話では夏、恋人の弥生(有村架純)、海(泉谷星奈)の3人でショッピングモールに出かけます。子ども服売り場で海の母親に間違われた弥生が、言葉を詰まらせるシーンでこの先の悲しい展開が予感できました。

 海の母親である故・水季(古川琴音)の手紙を読んだ弥生は、自分の幸せを優先することを決めて、夏に別れを告げます。駅では手を握り合いながら恋人同士として、最後の会話をしますが、別れ際、夏は涙をポロポロ流してむせび泣いてしまい、視聴者の涙を誘いました」

 確かに、さめざめと嗚咽しながら涙を流す男性主人公は、過去のドラマを振り返ってもそう多くはない。

 対照的なのはTBSの日曜劇場だ。2021年放送の「TOKYO MER~走る緊急救命室~」「日本沈没-希望のひと-」、22年の「DCU」、23年の「VIVANT」「アンチヒーロー」「ブラックペアン(シーズン2)」などは、男性のスーパーヒーローが大活躍します。しかし、「海のはじまり」はこれら日曜劇場の主人公とはかけ離れた繊細なキャラクター像となっています。

 夏をめぐっては「じれったい」「煮え切らない」などのモヤモヤが、視聴者の間で渦巻いているが、実は「海のはじまり」は従来のドラマにはない新鮮さがある。最大の特徴は社会から期待されがちな男性の「強さ」や「冷静さ」とは、対極にある主人公の「弱さ」や「感情の波」が等身大で描かれているところだろう。

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