「フード付きパーカーとタートルネックはNGです」 平均年齢31.8歳「美容師」業界の知られざる苦労話 「客にお願いしたいこと第1位」は納得のひと言
橋本愛喜さんの連載「はたらく人たち」第3回は美容師さんを取り上げます。いまは男女を問わず、美容院で髪のお手入れをする方が増えました。果たして、現場で働く人たちにはどんな苦労があるのでしょうか――。
美容院・美容師の数
突然だが、クイズを出そう。
(1)全国にある歯科医院
(2)全国にある美容院
(3)日本の全教育機関(学校)
(4)全国にある信号機
(5)世界のマクドナルド
(6)全国のコンビニ
※データは令和4年で統一
※教育機関は国・公・私立の幼稚園から大学院までの合計
これを多い順に並べてみてほしい。
よく、歯科医院はコンビニよりも多いという話を聞く。実際、歯科医院は6万7755軒、コンビニは5万5838店舗で、歯科医院のほうが1万軒以上多い。
しかし、その数を軽々と超す店がある。それが「美容院」だ。
厚生労働省の「令和4年度衛生行政報告例」によると、同年度の美容所数は26万9889店舗。実に歯科医院の4倍もの数である。
広さを示す尺度として「東京ドーム何個分」が使用されるのと同じくらいピンとこないかもしれないが、日本の信号機は20万7057基。つまり、美容院は信号機よりも多いのだ。
(注・信号機とは「信号を制御する機械」のこと。「赤・黄色・青」のいわゆる信号灯器は全国で126万5493灯ある)
美容院は生活衛生上、必須な施設ゆえ元々数は多く、1990(平成2)年には18万6506店舗あった。が、日本の人口が減っていくなかでも、その数は年々さらに増加。現在の数に至る。
その理由は何なのか。
要因は複合的ではあるが、なかでも「美容の多様化」が大きいところだろう。これまで美容院といえば、カットやカラー、パーマなど「女性の美容」がターゲットだったが、時代の移り変わりとともに老若男女の美容意識が上昇。髪質改善から地肌ケア、トリートメント、薄毛防止などサービスのバリエーションが増えたことも背景にある。
こうして年間約1万件もの美容室が開業しているが、一方、それと同時に1年以内に閉店してしまうサロンも非常に多いという話も。現場の美容師はこう話す。
「美容院の開業においては、参入障壁が低いんです。小さい箱(店舗)さえあれば開業できます。ただ、店舗が小さいと1日に対応できるお客さんの数も少ないので経営が安定しなくなり、閉店に追い込まれるケースが少なくありません」
※冒頭のクイズの解答:
美容院(26万9889店)→信号機(20万7057基)→歯科医院(6万7755軒)→コンビニ(5万5838店舗)→日本の全教育機関(5万6,651校)→世界のマクドナルド(4万275店舗)
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