理工系学部に急増する“女子枠”に違和感… 「男子高に女生徒を」と矛盾していないか

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難関大学が続々と導入

 大学入学者に占める女性の割合は46.2%に達しているが、人文科学系や社会科学系への進学者が多く、理学系は29.3%、工学系は17.3%にとどまる――。2023年度に行われた文部科学省の学校基本調査で、そんな結果が出ている。2019年にOECD(経済協力開発機構)が行った調査ではさらに低く、理工系学部に進んだ女性の割合は9%にすぎない。OECD加盟諸国の平均も15%で高いとはいえないが、日本はそれをかなり下回っている。

 そんな状況を受け、理工系学部の入試に女子枠をもうける大学が急増している。すでに23年度入試で名古屋大学、富山大学などが実施していたが、流れをリードしたのは、この10月に東京医科歯科大学と合併し、東京科学大学となる東京工業大学だった。24年度入試ではじめて、物質理工学院や情報理工学院(学院とは通例の学部のこと)に計58人の女子枠をもうけ、56人を合格させた。25年度入試ではこの定員を大幅に増やすという。

 24年度入試で導入したのは33大学(うち国公立大学が14)で、26年からは京都大学や大阪大学も導入すると表明している。

 だが、あまり議論がなされないままに、この枠が拡大していくことには、違和感を覚えざるをえない。

 女子枠が急増する理由は、ひと言でいえば「多様性の確保」と説明されている。さらにいえば、政府は経済再生の手段として、現状では女性が少ない領域で、女性の比率を高めることをめざしてきた。文部科学省もそれを受け、多様な背景をもった者を選抜する対象者のひとつとして、「理工系分野の女子」を挙げている。

 その点に意義をはさむ余地はない。社会のデジタル化は否応なく進んでおり、理工系の人材に対する需要が高まっているのは客観的な事実である。女性は理工系分野への適応力が男性に劣る、ということでもない以上、理工系学部での女性比率は高まったほうがいいに決まっている。問題は、女性の活躍の場を拡大するためには、女性を特別あつかいしてもよいという安易な解決法にある。

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