壮絶な兄弟ゲンカで解散した「オアシス」が再結成 ロック・バンドが揉める理由はいつの時代も「金」「女」「エゴ」
オアシス再結成にファンは熱狂
8月27日にイギリスのロック・バンド、オアシスが再結成して来年、ツアーをスタートすることをアナウンスした。
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「銃声が静まり、星が一列に並んだ。長い待ち時間は終わった。テレビ放映されることはないからぜひ観にきてくれ」とバンドのリード・ヴォーカリスト、リアム・ギャラガーはXでコメントしている。
彼と、メイン・ソング・ライターでギタリストの兄、ノエル・ギャラガー兄弟の不仲は解散前から報道されていた。
弟が兄のギターをぶっ壊したり、タンバリンでボコボコにしたり。いったい彼らのどこが“オアシス”なのだ? そう疑いたくなるほど、その名にそぐわないことが起きていた。2009年に兄が脱退。バンドは終止符を打ったが、その後も本人たちはまったく隠すことなくインタビューやSNS上で罵り合っていた。ある種、そのやりとり自体がエンタメ化していたフシもある。
長年、再結成なんてありえない、というトーンだった。それが一転、ツアーを行うというのだからファンは歓喜している。
ツアーチケットは瞬時に売り切れた。
ギスギス感を可視化したビートルズ
洋邦問わず、ロック・バンドに喧嘩や揉め事は付きものだ。ギャラガー兄弟ほどオープンではないにせよ、欧米の場合は、それが表に出るケースも決して珍しくない。
その要因としてしばしば登場するのは「女」「金」「(メンバーの)エゴ」あたりだろうか。
オアシスのルーツの1つでもあるビートルズの解散に至る要因には、敏腕マネージャーのブライアン・エプスタインの死、オノ・ヨーコの登場、新マネージャー問題などが挙げられてきた。
1967年、ビートルズは初期からバンドをケアしさまざまなトラブルを処理してきたブライアンを失った。メンバー4人は混乱。ヨーコと交際を始めたジョン・レノンは、彼女をレコーディングにも連れてきて、スタジオにまで入れたため、ほかの3人をしらけさせる。ジョンは、メンバーよりもヨーコの意見を尊重した。
新マネージャー問題も混迷を極める。ジョン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターはローリング・ストーンズの元マネージャー、アラン・クラインを推した。ポール・マッカートニーは、後に妻となるリンダ・イーストマンの父親で弁護士のリー・イーストマンを連れてきて、3人との間に溝ができてしまった。このあたりはビジネス、すなわち金も絡んでいたようだ。
こうした揉め事や不協和音は、バンドではよくあることだろうが、ビートルズの場合、特異なのはプロセスが映像で記録されていた点だろうか。当時のドキュメント、映画『レット・イット・ビー』からはギスギスした空気がよく伝わってくる。
ビートルズを辞めると言ったときのポールの反応をジョンは、次のように回想している。
「たとえば、離婚を持ち出したときには、誰でも、顔の色がいろんなふうに変わったりするのとおなじで、これが最終的な終わりなのだ、ということをほんとうに承知していたようでした」(『ビートルズ革命』ジョン・レノン著、片岡義男訳、草思社刊より)
ジョンとポールはビートルズ解散後の楽曲で、相手を皮肉ったり批判したりしている。ポールの「トゥ・メニー・ピープル」はジョンとヨーコへのあてつけで、反撃でジョンが作ったのが「ハウ・ドゥ・ユー・スリープ?」だという解釈がなされている。
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