一晩中「ニャーニャー」と…東京湾岸のマンションで止まらない「ウミネコ被害」 原因は「屋形船」説に猛反論も

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「ウミネコが一晩中、甲高い声で鳴き、夜眠ることができない」
「ウミネコのフンで洗濯物が汚された。このままでは外に洗濯物を干せない」
「道路上にたくさんのフンが落ちている。衛生上、よくないのではないか」

 近年、東京湾岸部のマンション住民がウミネコの被害に悩まされている。上で紹介したのは、江東区に寄せられた区民たちの声だ。

マンションの屋上で“ニャーニャー”

 カモメの仲間であるウミネコは全長約45センチ、翼を広げると120センチになる比較的大きな鳥であり、その鳴き声からウミネコと呼ばれている。

「本来、ウミネコは春から夏にかけて海沿いで営巣しますが、湾岸部のマンション屋上でもそうした行動が見られるようになったのです。群れで営巣するため、昼夜を問わず数十羽が“ニャーニャー”と大きな声で鳴き、たまったものではありません。フン被害も甚大で、マンションが汚れ、洗濯物や布団が干せなくなってしまいます。マンション住人の中には精神的に参ってしまう人もいるため、放置することのできない問題になっているのです」(東京都の関係者)

 東京都によれば、ウミネコの被害は台東区・墨田区・江東区・中央区の湾岸4区に限られるが、21年には苦情件数が大幅に増加し、江東区では200件に達した。

 今年もウミネコはマンションの屋上等で営巣し、テレビや新聞でも被害が取り上げられた。ところが、ウミネコは鳥獣保護管理法で守られ、自治体の許可なく駆除すれば1年以内の懲役または100万円以下の罰金が科される場合があり、巣を見つけても簡単に駆除できないのだ。

ウミネコの繁殖は屋形舟が原因との説

 東京都は対策に乗り出し、22年4月から、専門業者が繁殖期の卵とヒナを駆除できるようにしたが、解決には至っていない。

 このウミネコ氾濫の原因は、「昔、上野動物園が保護した個体を放鳥し、不忍池から広がった」「東日本大震災の津波で棲み処をなくした群れが南下して繁殖した」「マンション屋上の緑化が進み、ウミネコが営巣しやすくなった」……と諸説が取り沙汰されている。

 その中に、夏の風物詩の代表格のひとつである屋形舟が元凶との見方があるという。先の東京都関係者も「東京湾を行き来する屋形船が原因との話があちこちで出ているそうです」と言うのだ。

 酷暑が続く今年も、多くの屋形船が東京湾を航行し乗客は納涼を楽しんでいるが、これが原因とはどういうことなのか。

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