日本代表に「7-0」で歴史的惨敗…中国「イバンコビッチ監督」、守備強化の“システム変更”が裏目に

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 北中米W杯のアジア最終予選が9月5日に行われ、日本は初戦で中国を7−0の一方的なスコアで退け白星発進した。チームは6日にチャーター機で日本を発ち、10日にマナマでバーレーンとの第2戦を迎える。【六川亨/サッカージャーナリスト】

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 過去2大会のW杯アジア最終予選で、日本は初戦のUAE(アラブ首長国連邦)戦(1−2)とオマーン戦(0−1)を落としている。オマーン戦の指揮を執った森保一監督からすれば、同じ轍を踏みたくはないだろう。

 そこで前回21年9月2日のオマーン戦は「集合がバラバラで、コンディションとミーティングだけで終わった」反省から、今回は「準備としては選手が攻撃と守備も含めてミーティングでチームとしてどういう戦いを共有するか。2回の全体練習でより具体的に攻撃と守備で我々がやるべきことを確認できた」ことを勝因の一つに挙げた。

 スタメンはコンディションを判断材料にしつつ、3−4−2−1のシステムを採用した。より攻撃に人数をかけるという狙いに違いない。

 対する中国のブランコ・イバンコビッチ監督はオーソドックスな4−4−2ながら、元ブラジル国籍のベテランであるFWアランとフェルナンジーニョはベンチに温存。まずは守備を固めつつ、勝負所での投入というプランが見て取れた。

 試合はFIFAランク18位対87位が示すように、立ち上がりから日本がボールを支配して押し気味に進めた。しかし中国もDFとMFの8人の選手が自陣ペナルティーエリアに入ってスペースを消しに来た。

4BKから5BKに変更

 中国のゴール前は両国の選手で“すし詰め”状態。ワンツーなどのパス攻撃や単独でのドリブル突破はことごとく守備網に引っ掛かる。

 そんな状況で効果的なのは、「点と点で合わせる」空中戦だった。前半12分、MF久保建英の左CKからFW上田綺世が囮となってボランチの遠藤航がフリーのヘディングシュートを叩き込んだ。まずは先制して試合の主導権を握った。

 問題は追加点である。2016年のUAE戦は先制しながらFKとPKで逆転されている。このため、できれば早めに追加点を奪って中国の戦意を削ぎたいところ。

 しかしシュートはGKの正面を突いたり、ゴール枠を外したりしてなかなか追加点をもぎ取れない。ようやく前半アディショナルタイムの45+2分、MF堂安律の右クロスをMF三笘薫がヘッドで決めて日本のリードを2点に広げた。三笘にとっては23年6月20日のペルー戦以来1年2カ月ぶりのゴールでもあった。

 この1点で日本は楽になった。そしてイバンコビッチ監督は後半に入ると前半の4BKから5BKに変更してきた。

 その理由を「守備がうまくいっていない。前半で2失点したので中盤のインテンシティを強くしたい。人数を増やしたいので変えた」と説明した。

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