「紅白」に早くも浮上する8名の出演者 ヒット不足の2024年…五輪ソングもパッとせず
インパクトに欠けた“五輪ソング”
現状ではB’zに頼らなければならない事情がNHKにもある。「紅白」の目玉となるような「今年のヒット曲」がないことだ。
2023年もヒットに恵まれたとは言い難かった。それでも、新しい学校のリーダーズの「オトナブルー」やMrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」、緑黄色社会「サマータイムシンデレラ」など、“刺さる世代には刺さる”楽曲はあった。
ところが今年はどうかというと、「話題になったといえるのはCreepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born』ぐらいですかね」(先の音楽関係者)という状況。しかも、
「パリ五輪がありましたが、テーマ曲で話題になったものはありませんでした。とにかくIOC(国際オリンピック委員会)らの規制が強く、各局とも“五輪のテーマ”と前面に打ち出しにくかったせいです。『スポーツテーマ曲』として扱うのが限界で、過去の五輪のような特別感はありませんでした。TBSはサザンオールスターズの『ジャンヌ・ダルクによろしく』、テレビ朝日はMrs. GREEN APPLEの『アポロドロス』、フジテレビは菅田将暉の『くじら』などをそれぞれ使っていましたが、どうにもインパクトに欠けてしまいましたね。NHKもYOASOBIの『舞台に立って』を起用していましたが……不発に近い状態でした」
昨年の「紅白」は、1部の視聴率が29・0%で、ついに30%割れしたことが話題になった。2部も31・9%にとどまり、早くも業界内では「今年の30%割れは確実」と言われている。受信料制度に批判が集まり、番組の存続意義も問われなかねない昨今、せめて「紅白」だけは数字を上げ、死守していきたいというのがNHKの本音かもしれない。
「昨年の『紅白』は、ジャニーズ(現STARTO ENTERTAINMENT)勢を排除して、K-POPアイドルを積極的に出演させましたが、今年もその流れになることは確実です。それゆえに、視聴者層に変化をつけられるB’zの出演はNHKにとって至上命題であるわけです。演出面では、朝ドラ主演の橋本環奈を3年連続の司会に据えて盛り上げるスタイルが濃厚でしょうから、やっぱりそのドラマの主題歌を歌うB’zを出さないわけにはいかない。特別枠になるか、でなければ大トリでの歌唱になるでしょう。その場合、紅組は、やはりMISIAになると思います」。
明菜だけでなく聖子も
ほかCreepy Nutsの出場も濃厚となっているが、さる業界関係者はこうも言う。
「昨年に続き中森明菜の出場も目指しているようですが、実はNHKは松田聖子にも打診しているようです」
松田聖子は、2021年の「紅白」への出場を予定していたが、神田沙也加さん(享年35)の悲劇が起こり、そのショックから出場を辞退してしまった経緯がある。以降、2年連続で「紅白」に出ていない。
「視聴者にとっても、聖子さんの人気は特に高いですから、久々に『紅白』に出るとなれば大きな目玉になるでしょう。しかも、来年はデビュー45周年。たしかに明菜への交渉も進めていますが、体調的にもまだまだ不透明。それゆえ聖子を引っ張り出したいとの思惑がNHKにはあるわけです。ほかの出演者でいえば、芸歴50周年かつ『マツケンサンバII』発売から20周年を迎えた松平健も、番組を盛り上げる存在として出演は確実でしょう。あとは4月からスタートした『新プロジェクトX』で主題歌『地上の星』を歌っている中島みゆきにも打診しているようですが、こちらの可能性は薄そうですね」(音楽関係者)
好みが多様化したうえに、ネット動画に視聴者を奪われがちなこの時代に、音楽番組は厳しい状況に置かれている。来年5月11日には、日本音楽事業者協会や日本音楽制作者連盟、音楽出版社協会など5団体が共催して“アジア版グラミー賞”と言われる音楽祭を京都で立ち上げ、業界を盛り上げようという機運も高まっている。こちらもNHKが総合とBSで4時間に亘って放送する予定だ。2025年の音楽業界を盛り上げるためにも、年末の「紅白」で弾みをつけ、ぜひ勢いをつけてほしいという声が業界から聞こえてくる。