「大腸菌は道頓堀の4倍」でもセーヌ川は安全だった? パリ五輪で再燃「アスリートの健康は二の次でいいのか」問題

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安心できる基準に

 団体にクレームはないというが、メディアは盛んに健康被害の実情を訴えている。

「レース後に嘔吐した選手の映像なども出ましたが、あれが実際に水質汚染による影響なのか、調べる必要があります。ここ数年、深部体温を下げるために、事前に胃の中に入れるジェルが流行しているのをご存じですか。トライアスロンでも多くの選手が使っています。レース中やレース後の嘔吐が、この影響ではないかという見方もあるので、嘔吐の原因が水質かどうか、まだ断定はできないと思います」

 たしかに、セーヌ川の水質を突破口にIOCや五輪のあり方を非難したいメディアが、それらしい材料をすべて水質汚染のせいにしている傾向も否めない。この点はさらに冷静な調査と判断が必要だろう。

 ただひとつ、レース実施を許可する基準値自体が高すぎるのではないか、という提言はしておきたい。「大腸菌が道頓堀川の4倍でもOK」という基準は安心して許容できるレベルではないと感じる。その他のウイルスや感染症対策も含め、選手と家族、応援する人々が安心できる基準に定め、実施してほしい。

スポーツライター・小林信也

デイリー新潮編集部

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